あやとりで金メダル!? 創作「東京オリムピック噺」

「あれ? いつ俺が2020年って言った? 『次の!』東京大会って言ってるだろ。今度の東京の、その次の、東京大会を目指してるんだ。まずは少しずつ競技人口を増やして、まずは公開競技、そしていつの日か正式種目入りを…」

「いったい何十年後の話ですか。もう、付き合いきれません」

「…やっぱり、やめるか。あやとり部」

「…はい。これまでお世話になりました」

「ああ。受験勉強、がんばれよ」

「…失礼します」

風前のあやとり部

「…たかし!」

「?」

「最後に一度だけ、おれのあやとりを受けてみないか」

「いいですけど?」

「ふっふっふ。よーし、見てろよ。こーれーがー、おまえにぃ、とれるかあ!」

「先生っ! そ、それは!」

「おまえの得意技、東京スカイツリー4回転半ダブルコークだ!」

「まさか! ぼく以外にそのわざを使える人がいるなんて。さすがは先生…」

「さぁたかし、おのれ自身を乗り越えてみろ!」

「くっ、くっそう」

「さあ、どうだ?」

「うおおお!!! こうして、こうして、…これでッ、どうだあ!」

「うわあ! なな、なんだその技は?!」

「高さ世界一の超高層ビル。ブルジュ・ハリファ!」

「げぇっ! 中東はドバイにある、208階建て、か」

「高さ828メートルです」

「…やったな。たかしっ!」

「せんせいーっ! やっぱりおれ、あやとりを続けます。人気も認知度もまるでないけど。今、このあやとりの向こうにはっきりと未来が見えました!」

「それは、お前自身だ! がんばれよ!」

「はいっ!」

2080年、東京大会。国際スポーツあやとり協会会長となったたかしくんが、優勝選手の首に金メダルをかけることになるのは、まだ先のことでございます。

おしまい。また次回~!

立川談笑
1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

これまでの記事は、立川談笑、らくご「虎の穴」からご覧ください。

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