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うつ病治療、医師との相性も大切 磁気など最新療法も

うつ病との付き合い方、遠ざけ方(下)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

うつ病の治療は、薬物療法と対話を中心とした精神療法の双方を組み合わせて行われる。最近、うつ病と双極性障害が区別されるようになってきた。双極性障害(以前は躁うつ病と呼ばれていた)はうつの状態と躁(そう)の状態を繰り返す病気。一方、うつ病は躁状態が見られず、うつの状態のみを示す。近年、うつ病に様々な治療方法が開発されてきた。前回「『うつ』と『うつ病』は違う 大事な受診のタイミング」に引き続き、六番町メンタルクリニック(東京・千代田)の野村総一郎所長に最新のうつ病事情を伺った。

◇  ◇  ◇

悲哀の感情が強く、何もかもむなしく感じる。思考がまとまらず、物事を理解できにくくなる場合もある。食欲不振や頭痛、だるさなど様々な体の不調が出現している。こうした症状が2週間以上続くのであれば、精神科や心療内科を受診しよう。

自然に回復する場合もあるが、治療しないでいると大きな苦しみを味わうことになり、前回記事「『うつ』と『うつ病』は違う 大事な受診のタイミング」で紹介したように自殺の危険すら出てくる。

ここで大切なのは、医師と患者の相性が重要だということ。「長くかかることもあるため、医師との相性の善しあしは無視できないところです」と野村所長は指摘する。意外なことだが、精神科の医師は治療のアプローチの仕方で「理系」と「文系」に分けられるそうだ。

「心の病気はつまるところ脳細胞の病理である」と考えるのが理系タイプで、薬物療法を重視する傾向が強い。対して文系タイプは心を心として捉える姿勢が強く、人間関係や心の動きなど心理的な要素を重く見る傾向にある。どちらも正しい考えだが、大事なのは長く付き合えそうかどうかを患者自身が判断することだ。

薬物療法を中心に精神療法を組み合わせる

うつ病治療の中心になるのは薬物療法だが、心理面での支えとなる精神療法も重要だ。薬物療法では、抗うつ薬を中心にいろいろな薬を使い、状態の改善を図る。うつ病のタイプ別に個々の状態に合わせて使っていくことが主流だ。

精神療法は、患者が抱える問題を医師と患者がともに考え、患者本人が持つ力を引き出していく治療。認知療法や行動療法、対人関係療法など様々な方法がある。

いずれの場合も治療の基本的な目的は、患者の訴えを受け止め、「そうした考えを進めていった場合の結果」に患者自身に気づいてもらうこと。例えば、患者が他人のせいで自分がうつ病になったという思いが強い場合は、そうした考えを抱くようになった経緯やそうした思いにとらわれることの意味を患者自身に考えてもらう。

医師の役割は、あくまでその手伝いということになる。患者によっては、「自分の考えを変えなければならない」という思いの一方、「満足がいく成果が出ない」と悩み、それがさらに焦燥を引き起こすという悪循環(野村所長は「ぐるぐる思考」と命名)に陥っている人もいる。こうした思考パターンを客観視し、悪循環から抜けてもらうことが治療の目的になる。

またうつ病と診断された患者の中には双極性障害という別の病気が紛れ込んでいる可能性もある。うつの状態と正反対の躁の状態を繰り返す病気だ。患者数はうつ病より少ないが、普段では考えられないような高額の買い物をしたり、急に他の人を非難したりして信用や人間関係、財産を失うなど、典型的なうつ病より深刻な影響が出がちだ。うつ病とは異なる病気だが、うつ状態のときに受診するとうつ病と誤って診断される可能性もある。

野村所長は「うつ病と双極性障害の区別は重要ですが、時に区別がしにくいことがあります。患者さんの方でも以前、普通では考えられないほど気分が高揚したり、怒りっぽくなるなど躁状態に陥ったことがあれば、必ず医師に伝えてほしい」と語る。

うつ病治療では「休む」ことが何より大事

「うつ病にしても、双極性障害にしても、治療法の進歩によって改善率は上がっています。発症後半数の方は6カ月以内に改善します」と野村所長は言う。中には「治療のために長く会社を休めない」という方もいるだろう。しかしうつ病はエネルギーが枯渇した状態なので、休養が大事だ。「休めない」と思い詰めてしまうから、のっぴきならない状態に追い込まれてしまうともいえる。「治療中に本人がやるべき最大の努力は休むこと。しっかり休んで回復するほうが、その後のキャリアへの影響は小さくなります」(野村所長)

特に発症直後の急性期は、薬を飲んでしっかり休むことが何よりも大事だ。休むとは何もしないで「薬を飲みながらゴロゴロする」こと。元気なときには友人と遊ぶことも気晴らしになるが、心身のエネルギーが枯渇している状態では苦痛なだけ。したがって、周囲の人も遊びに誘わないように配慮することも必要になってくる。

回復期には日光、食事、睡眠が大切

十分に休養をとって、気力が戻ってきたと感じたら回復期だ。

うつ病になると生活のリズムが乱れがちだ。生活のリズムをリセットし整えていくために必要なことは「日光」「食事」「睡眠」の3要素だ。起床後は日光を浴びて体内時計をリセットする。食事では栄養バランスの良いメニューを決まった時間にとるように心がける。夜更かしは、生活リズムを乱す要因になるので、規則的に十分な睡眠を取ろう。

復帰を考えた場合は、一気に元に戻そうとはせずに、「できそうなこと」を1つずつ試みるようにしたい。「やらねばならない」と考えるのではなく、「やってみよう」と思うことを優先するようにしよう。

職場への復帰にあたって、上司にはこまめに自分の状態や気持ちを報告するようにしたい。このとき、服薬は継続する。大切なのは無理をしないことであり、もっと大切なことは「他人の目を気にしないこと」だ。前回記事「『うつ』と『うつ病』は違う 大事な受診のタイミング」で他人と自分を比較して優劣を判断する「思考のクセ」がうつ病の原因になることを紹介した。「ノージャッジ」の姿勢が大切だ。

治療期間中、特に注意しなければならない問題に「アルコールとの付き合い方」がある。つらくてたまらないときにアルコールに助けを求めることがある。酩酊(めいてい)状態で一時的に幸せな気分になるが、酔いがさめると非常に苦しくなって、またアルコールに逃げるという悪循環に陥り、最終的には依存症になる人もいる。

「このような患者さんではうつ病とともにアルコール依存症の治療が必要になります。治療もアルコール依存症の専門医と連携して行うことになりますが、そのようなケースは決して少なくありません」と野村所長は警鐘を鳴らす。

研究が続くうつ病の新たな治療法

「精神科には薬物療法と精神療法しかないわけではなく、新しい治療法の研究も進んでいます」と野村所長は語る。

治療を続けても改善が見られない場合は、診断や薬の見直しに加え、新しい治療の追加も検討されることになる。例えば、「改良電気けいれん療法」(mECT)。頭皮に貼り付けた電極を通して1回につき10秒間くらいの通電を合計数回から10回程度行う治療法だ。

かつては、けいれんが起きるなど問題もあったが、現在はけいれんを起こさないように改良された方法が登場している。自殺念慮が強い、薬の副作用が強く薬物療法が続けられない場合に行われる。重症例を対象とした場合、有効率は60%と良好な成績が報告されている。

電流ではなく磁気をあてる「磁気療法」(経頭蓋治療用磁気刺激装置=rTMS)という方法もある。2017年に薬事承認され、現在保険で治療できるように議論が続けられている。また慶應義塾大学では先進医療として、治療を受けることが可能になっている。

瞑想(めいそう)によって症状が改善することもある。さらに最近は運動療法も注目されるようになってきた。どのくらいの運動強度で行うかなどはまだ明らかになっていないが、今後の発展が期待できる治療法だ。野村所長の経験では、鍼灸(しんきゅう)で良くなる患者もいるという。まだ決定的に推奨できるレベルではないが、データがまとまってくれば東洋医学的なアプローチが広く普及する可能性もありそうだ。

(ライター 小崎丈太郎)

野村総一郎さん
六番町メンタルクリニック所長。1949年広島県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。藤田学園保健衛生大学(現、藤田医科大学)精神科助教授、立川共済病院神経科部長、防衛医科大学校精神科教授、同病院長を経て、2015年より現職。1985~87年に米国テキサス大学医学部、メイヨー医科大学に留学。日本うつ病学会第1回総会会長。『うつ病の真実』(日本評論社)、『入門うつ病のことがよくわかる本』(講談社)など著書多数。

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