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うつ病治療、医師との相性も大切 磁気など最新療法も うつ病との付き合い方、遠ざけ方(下)

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2019/5/20

特に発症直後の急性期は、薬を飲んでしっかり休むことが何よりも大事だ。休むとは何もしないで「薬を飲みながらゴロゴロする」こと。元気なときには友人と遊ぶことも気晴らしになるが、心身のエネルギーが枯渇している状態では苦痛なだけ。したがって、周囲の人も遊びに誘わないように配慮することも必要になってくる。

■回復期には日光、食事、睡眠が大切

十分に休養をとって、気力が戻ってきたと感じたら回復期だ。

うつ病になると生活のリズムが乱れがちだ。生活のリズムをリセットし整えていくために必要なことは「日光」「食事」「睡眠」の3要素だ。起床後は日光を浴びて体内時計をリセットする。食事では栄養バランスの良いメニューを決まった時間にとるように心がける。夜更かしは、生活リズムを乱す要因になるので、規則的に十分な睡眠を取ろう。

復帰を考えた場合は、一気に元に戻そうとはせずに、「できそうなこと」を1つずつ試みるようにしたい。「やらねばならない」と考えるのではなく、「やってみよう」と思うことを優先するようにしよう。

職場への復帰にあたって、上司にはこまめに自分の状態や気持ちを報告するようにしたい。このとき、服薬は継続する。大切なのは無理をしないことであり、もっと大切なことは「他人の目を気にしないこと」だ。前回記事「『うつ』と『うつ病』は違う 大事な受診のタイミング」で他人と自分を比較して優劣を判断する「思考のクセ」がうつ病の原因になることを紹介した。「ノージャッジ」の姿勢が大切だ。

治療期間中、特に注意しなければならない問題に「アルコールとの付き合い方」がある。つらくてたまらないときにアルコールに助けを求めることがある。酩酊(めいてい)状態で一時的に幸せな気分になるが、酔いがさめると非常に苦しくなって、またアルコールに逃げるという悪循環に陥り、最終的には依存症になる人もいる。

「このような患者さんではうつ病とともにアルコール依存症の治療が必要になります。治療もアルコール依存症の専門医と連携して行うことになりますが、そのようなケースは決して少なくありません」と野村所長は警鐘を鳴らす。

■研究が続くうつ病の新たな治療法

「精神科には薬物療法と精神療法しかないわけではなく、新しい治療法の研究も進んでいます」と野村所長は語る。

治療を続けても改善が見られない場合は、診断や薬の見直しに加え、新しい治療の追加も検討されることになる。例えば、「改良電気けいれん療法」(mECT)。頭皮に貼り付けた電極を通して1回につき10秒間くらいの通電を合計数回から10回程度行う治療法だ。

かつては、けいれんが起きるなど問題もあったが、現在はけいれんを起こさないように改良された方法が登場している。自殺念慮が強い、薬の副作用が強く薬物療法が続けられない場合に行われる。重症例を対象とした場合、有効率は60%と良好な成績が報告されている。

電流ではなく磁気をあてる「磁気療法」(経頭蓋治療用磁気刺激装置=rTMS)という方法もある。2017年に薬事承認され、現在保険で治療できるように議論が続けられている。また慶應義塾大学では先進医療として、治療を受けることが可能になっている。

瞑想(めいそう)によって症状が改善することもある。さらに最近は運動療法も注目されるようになってきた。どのくらいの運動強度で行うかなどはまだ明らかになっていないが、今後の発展が期待できる治療法だ。野村所長の経験では、鍼灸(しんきゅう)で良くなる患者もいるという。まだ決定的に推奨できるレベルではないが、データがまとまってくれば東洋医学的なアプローチが広く普及する可能性もありそうだ。

(ライター 小崎丈太郎)

野村総一郎さん
六番町メンタルクリニック所長。1949年広島県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。藤田学園保健衛生大学(現、藤田医科大学)精神科助教授、立川共済病院神経科部長、防衛医科大学校精神科教授、同病院長を経て、2015年より現職。1985~87年に米国テキサス大学医学部、メイヨー医科大学に留学。日本うつ病学会第1回総会会長。『うつ病の真実』(日本評論社)、『入門うつ病のことがよくわかる本』(講談社)など著書多数。

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