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米大学院合格の決め手 学部で主導的な学びの経験積む

アメリカ南部奮闘記(12)

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NIKKEI STYLE

皆様こんにちは。米国南部の大学で学んできた香山葉子です。この秋から、ノースカロライナ州立大学にて博士1年生(計5年の過程において)になります。出願してから2カ月以上、ストレスフルな待ち時間がありましたが、奨学金付き合格をいただいた後、入学の意思表明をしました。学部レベルでの学習の道のりを振り返り、どの点がアメリカ大学院入試において有効で、どの点が良くなかったのかをおさらいしていきます。

自分が通っていたワシントンアンドリー大学で専攻を決めた2年生の当初は卒業後のことに不安がありました。ABET認定(米国における民間ベースの技術者教育認定会議による認定)されていないカリキュラムを持つ工学部の専攻を選んだので、卒業後の大学院進学や就職などに不利になるのではないかと悩んでいました。

しかし、就職活動と大学院受験を経験し終えた今言えることは、ABET認定や大学の知名度よりも、学ぶ過程でのイニシアチブのとりやすさが学部課程において一番重要な要素だと思います。そして結果的にこのイニシアチブを取ることによって成果や努力が認められ、博士課程に合格したのだと思います。では、「学ぶ過程でのイニシアチブ」とはいったいなんなのか、具体例を用いて説明させてください。

大学1年目、入学当初はもちろんイニシアチブの意味がよくわからなかったのですが、とりあえず自分が専攻したい工学のための基礎的な数理の授業と高校時代にかじった程度のフランス語の授業をとっていました。課外活動は女子バスケットボールのマネジャー。これと校内アルバイトだけで時間が埋まりました。そして大学1年目の夏はただなんとなく帰省し、高校時代の友達と再会し、長い間我慢していた和食をたらふく食べ、帰省にかかった旅費をアルバイトで工面しようと忙しかった記憶があります。

しかし、2年生の後半にかかり、少し焦りを感じ始めました。周りの友人たちは、自分が今度の夏休みに何をするのかの話題で持ちきりだったが、自分は応募したインターンシップから一つも合格をもらっていない状況でした。

そんな中、知人から「カメルーンに行って自分がデザインした企画を実行する機会がある」と聞きました。友人のMとタッグを組んで企画書を提出したところ、企画が通り、資金も充てられ、その夏は円満にカメルーンにて自主企画したプロジェクトを終えることができました。私はこの企画を練る段階で初めて「イニシアチブ」を経験することとなったのです。

教授に言われたことをやるのではなく、自分が率先して何をどんなペースでこなすのかを決めていく過程が新鮮で楽しかったです。自分が決めた企画である以上、自分が責任をもって遂行するというプレッシャーもありましたが、達成感はそれまでのどの課題をやり遂げたときよりも勝りました。カメルーンでの体験をきっかけに、自分が「率先して考えて行動する」というスキルが身に付きました。

ここで初めて「イニシアチブ」を体感したのですが、実は学びのイニシアチブは私がこのリベラルアーツカレッジに入学した当初からすでに始まっていたのです。自分が自分の興味に合わせて授業を選択できるということは、自分が決めたカリキュラムを自分が遂行することと等しいからです。これはまさに「自分が率先して考えて行動する」という枠組みにあてはまり、つまりはイニシアチブを取っているということになりませんでしょうか。

他にも「イニシアチブ」の例としては「自立学習」単位という枠組みの中で、研究をしながら単位をもらえるという制度です。教授の指導可能な範囲であれば、自由に研究テーマを提案することができます。カメルーンから学校に戻ったあと、私は家庭用浄水器に関する研究を教授に提案し、「自立学習」単位を取ることができました。

そして、その研究経験をもとに、3年生の夏はさらに掘り下げた研究をすることができました。3年生から4年生にかけて、大学のエンジニアクラブにも積極に携わり、リーダーとしていろいろな活動を企画・実行する経験を積むこともできました。これらの「率先して考えて行動する」という経験が大学院合格につながったのだと自分では思います。

自分で大学4年間を振り返り、これをすればもっと良かったのにな、というような経験もあります。例えば、えり好みをせずにもっと早い段階で研究の経験を積んでおけばよかったことや、もう少し成績を気にしておけばよかったことなどが挙げられます。

改めて振り返ると、自分はリベラルアーツカレッジに通ってよかったと思います。1、2年生のときにフランス語を勉強する機会がなかったらカメルーンへ行く機会は勝ち取れなっかたし、浄水に関する研究意欲もわかなかったはずです。自由に研究テーマを提案することができなかったら、今までの経験は積むことができなかったし、大学院合格も決してなかったでしょう。大学院の教授は私の「アイデアを生み出し、行動に移す力」を買ったと私に直接教えてくれました。このように、「イニシアチブ」の取りやすい環境こそが学部レベルの学びにおいて重要なのだと結論でけることができそうです。

最後に、自分の連載で繰り返し記しておりますが、今回の結果も、私のラッキーの一貫かもしれません。上野千鶴子さんが東大の入学式でおっしゃったように、努力が報われるのは環境のおかげです。私は1人の女性として、幼い頃に「翼を折られなかった」ことに感謝をしつつ、「知を生み出す知」をこれからの博士課程において育んでいきたいと思います。

香山葉子(こうやま・ようこ)
 千葉県出身。1996年生まれ、市川学園中・高(千葉県市川市)を卒業し、米ワシントンアンドリー大学を卒業。趣味はバスケ・料理・歌うこと。日・中・英・仏の4カ国語を用い、将来は発展途上国でテクノロジーを通じて価値を創造する働き方をしていきたい。

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