世界の水不足をアピール ある研究者ランナーの挑戦マセソン美季

100日連続マラソンに挑んだ水問題の専門家、ミナ・グリさん(2019年2月、ニューヨーク)=AP
100日連続マラソンに挑んだ水問題の専門家、ミナ・グリさん(2019年2月、ニューヨーク)=AP

今月初め、ドイツのボンで「国連SDGsグローバル・フェスティバル・オブ・アクション」が開催された。持続可能な開発目標の達成に向け、各国から様々な分野で活動に取り組んでいる人たちが集まって議論を交わし、アイデアを共有した。

数多くの事例紹介があった中、スポーツを活用したSDGsの達成についても、活発な意見交換が行われた。私は、現在取り組んでいるパラリンピックを題材にした教育プログラムで、障害のある人たちに対する認識を変えることを促し、未来を担う子どもたちにインクルーシブな概念、という名の種をまいていることを話した。

スピーチの翌日、オーストラリアの水問題の専門家、ミナ・グリさんから声をかけられた。近い将来訪れる深刻な水不足の普及啓発のためグローバルな活動を展開中で、2016年にはビジネス誌「フォーチュン」で、世界の偉大なリーダー50人にも選ばれた人だ。

国連の発表によれば、30年までに水への需要は、水資源の量を40%も上回るとされている。生きていくために欠かせない水だが、この問題に関心を持ち、危機感を抱いている人は少ないそうだ。そこで、彼女は奇抜な方法で世間の耳目を集める行動に出た。

ランナーでもある彼女は、16年に7週間で世界の7つの砂漠を走破した。昨年11月には100日連続マラソンを宣言。60回目のマラソンを終えたところで大腿骨が折れたことがわかり、残念ながら今年1月に計画は一時中断を余儀なくされている。

より多くの人たちが活躍できる土壌を整え、社会に参画出来るようにしたい。不可能と思えたことも、考え方や見方を変えれば解決の糸口を探ることができる。私が伝えたメッセージは、グリさんも体験を通して実感してきたことだそうだ。インクルーシブな心のありようは、これからの時代を生き抜く上で必要不可欠だから、より多くの人にメッセージを浸透させて、とエールをもらった。

そう言えば、まいた種が芽を出すには水も必要だ。今後は私自身も折に触れ、水問題にも言及していきたいと思った。

マセソン美季
1973年生まれ。大学1年時に交通事故で車いす生活に。98年長野パラリンピックのアイススレッジ・スピードレースで金メダル3個、銀メダル1個を獲得。カナダのアイススレッジホッケー選手と結婚し、カナダ在住。2016年から日本財団パラリンピックサポートセンター勤務。