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音楽や照明と融合 未来型花火イベント、海外でも人気

日経エンタテインメント!

2019/5/20

2017年に日本でスタートした「STAR ISLAND」が、世界から注目を集めている。日本の伝統文化である花火に、音楽や照明を最新テクノロジーと融合。そこに壮大なストーリー性のあるパフォーマンスを組み合わせた“未来型花火エンターテインメント”だ。これまで17年と18年の5月に東京・お台場で開催し、それぞれ1万5000枚のチケットを完売。18年末には初の海外公演となるシンガポールでも行われ、2万1000席が早々と売り切れた。

2018年の「STAR ISLAND」では、音楽と完全にシンクロした花火約1万2000発が上がった。それに合わせて、国内外から集められた選りすぐりのパフォーマーたちが本物の炎や水を操るなどのパフォーマンスを披露した(C)STAR ISLAND 2018
(C)STAR ISLAND 2018

「STAR ISLAND」のクリエイティブディレクターを務めるのは、14年スタートのダンスミュージックフェス「ULTRA JAPAN」をアメリカから日本に誘致してきた小橋賢児氏。そして統括プロデューサーは、同フェスでもタッグを組む、エイベックスのライブ事業本部の坂本茂義氏だ。「STAR ISLAND」を小橋氏が始めようと思ったきっかけは、15年の「ULTRA JAPAN」のラストに花火を上げた際に、会場にこれまでにない一体感が生まれたからだという。そこから花火の新しい可能性を探るなかで、全国で花火大会のスポンサーが減っており、無料開催が年々厳しくなっている現状を知ったという。小橋氏は、「花火業界内で、日本の花火文化を残していくには有料イベントしかないという雰囲気があったんです。しかし従来のスタイルのまま有料にしても観客は満足してくれない。既存の概念を打ち破るアップデートが必要でした」と語る。

「STAR ISLAND」の総合プロデューサーを務める小橋賢児氏(右)と、統括プロデューサーのエイベックスライブ事業本部の坂本茂義氏(左)

そこで17年は、観客を包み込む3Dサウンドを生みだす合計300台のスピーカーと、幻想的なライティングを配置。それと組み合わせたのが、地球の自然をテーマに日本の四季が感じられるストーリーの演目。約100名のパフォーマーたちが花火と音楽と照明を融合させたショーを展開した。18年はステージを2台増設、来場者には「LEDバンド」が配られ、臨場感と一体感がより増した。演目も、宇宙誕生から人類の行く末までを描いた、壮大なものへと大きくバージョンアップした。

また、面白い試みは様々な種類の席を用意したこと。寝転んで鑑賞できる「ベッドシート」や、テーブルで食事を取りながら楽しめる「ディナーシート」などだ。「新しい“モノの見方”を提案したくて。座って見るのではない、花火の多様な楽しみ方を考えました」(小橋氏)。

「STAR ISLAND」の座席は全6種類。シャンパンが1本付いてくる「ディナーシート」(C)STAR ISLAND 2018
専用のベッドで寝転びながら見ることができる「ベッドシート」(C)STAR ISLAND 2018

■海外公演を当初から想定

2018年12月31日にシンガポールのザ・フロート@マリーナ・ベイで開催。プロジェクションマッピングや、迫力のある太鼓、FMX(フリースタイルモトクロス)など、初めての演出も(C)STAR ISLAND SINGAPORE

ではなぜ18年末にシンガポールで開催するに至ったのか。実は海外で「STAR ISLAND」を開催するプランは当初から想定していたのだという。坂本氏は、「日本から海外に持っていける“輸出コンテンツ”になると感じていたので、17年から各国の大使館や観光庁の方を招待し、実際に体験してもらっていました」と明かす。それが功を奏し、アジアのハブでもあるシンガポールで大みそかに開催できた。今度は、その公演が世界的な見本市にもなったそうだ。「現在、アジアをはじめ欧米など、複数の国からのオファーがあるので、それを実現していきたいと思います」(坂本氏)。

そして、年内には東京での開催を予定している。「海外公演は今後も増えていくと思いますが、それは通過点だと思っていて。最終的には、本場日本の『STAR ISLAND』を見に来てもらい、そのまま日本も観光してもらう、世界から日本への流れを作れればと思っています」(小橋氏)。

日本発のヒットイベントとなりつつある「STAR ISLAND」は、日本を活気づけるインバウンドコンテンツの1つとしても期待できそうだ。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2019年4月号の記事を再構成]

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