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京都の歴史的建造物めぐり、気鋭の写真作品味わう

トピック

京都グラフィーの楽しみ(上)

2019.5.2

12日まで京都で開催されている京都国際写真祭、KYOTOGRAPHIEは、国内外の重要な作家の作品やコレクションをお披露目する、日本でも有数の写真イベントだ。ユニークなのは、京都の歴史的建造物や近代建築を活用した11の展示会場。それぞれの独特な空間様式が不思議と作品に調和し、写真の個性を一段と引き立てる。昨年は56万人が楽しんだこの催し、今年も京都の風景を味わいながら作品の鑑賞を楽しんでみる。




今回で7回目を迎えるKYOTOGRAPHIEを支えてきたのはBMW Group Japan、富士フイルム、シャネル、シャンパーニュメゾンのルイナールなどで、このほかにも多くのファッション企業が賛同する。京都に招いた作家らと観覧客たちとの交流も盛んだ。

■写真を床に置き庭と一体に

床面に置かれたエールハルトの写真。日本庭園との一体感があり、幻想的な美しさだ

建仁寺山内両足院の床面に並ぶのは、ドイツの前衛運動を代表する写真作家、アルフレート・エールハルトの作品「干潟」シリーズ。海水と風によって形成された砂の造形が美しい。20世紀初頭にバウハウスにて学んだエールハルトは結晶、貝殻、カタツムリ、サンゴといった自然物をグラフィカルに表現した。写真を床に置き美しい庭と地続きになったかのような展示が新鮮だ。

アルベルト・コルダはキューバの著名なファッションフォトグラファー。とらえた女性兵士の表情には力強い美しさがある

古い雑居ビルを改修した、祇園の複合ビルy gionで展示されているのはキューバの3人の写真家の3部作。特に目を引くのは著名なファッションフォトグラファーであり、キューバ革命の公認写真家でもあった、アルベルト・コルダの作品。ファッション広告に登場したモデルから1960年代初頭に政治活動に参加した民兵まで、キューバ女性の力強い美しさをとらえた。このほか、自身の身体を舞台に見立てたセルフポートレートを撮影したルネ・ペーニャ、LGBTの人々をとたえたアレハンドロ・ゴンサレスの作品も鮮烈で印象深い。

■ビンテージ家具とともに作品を展示

ヴェロニカ・ゲンシツカはポーランドの新進作家。アメリカの幸せそうな家族写真をモンタージュした作品群

ポーランドのヴェロニカ・ゲンシツカは、1950~60年代の米国の写真を使ったモンタージュ作品で注目を集める新進作家。幸せそうに見える家族の写真にブラックユーモアを加えた作品群が胸の内にさざ波を起こす。展示会場の嶋臺ギャラリーではビンテージ家具とともに作品が飾られ、不思議な空間に迷い込んだ錯覚に陥る。