長期投資なら連続増配企業が候補 稼ぐ力で「安心感」

写真はイメージ=PIXTA
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株式の長期投資を考えています。しかし、銘柄が多すぎて何を基準に投資対象を決めたらいいのかわかりません。参考になる投資指標を教えてください。

銘柄選びで参考にすべき指標は様々ですが、長期保有を意識する投資家が特に重視するのが配当です。配当は値上がり益と並び、株式投資で得られるリターンの柱です。企業が利益の一部を年に数回株主に分配する仕組みです。

配当の原資となるのは純利益です。これは稼いだ利益から法人税などを差し引いて計算し、企業活動に伴う純粋な成果を表します。その中からいくらを配当に回すかは、企業の姿勢や収益力を測るうえで重要な手掛かりです。

配当を増やす企業は稼ぐ力やその持続性に自信を持っているといえます。中でも注目したいのが連続増配銘柄です。長年続けて増配できる企業は「稼ぐ力がしっかりしており長期投資の対象として比較的安心感がある」とちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は話します。

代表格が花王です。2018年12月期まで29年間、1株当たり配当を前の期比で増やし続けており、19年12月期も増配を見込みます。家庭用品は需要が景気に左右されにくく安定収益を得やすいと株式市場は評価しています。同社の株価は、増配を始めた1990年当時に比べてほぼ5.6倍の水準にあります。

このほか医薬品や芳香剤を製造する小林製薬が21年、衛生用品のユニ・チャームが18年連続の増配を見込みます。米国に目を向けるとより長期の増配銘柄があります。例えばプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は60年、コカ・コーラは50年を超える連続増配を達成しています。

もちろん過去に配当が安定していたからといって将来続くとは限りません。衣料品大手のしまむらは販売不振から4月1日、19年2月期の年間配当を前の期比40円減の200円にすると発表しました。減配は1988年の上場以来初めてです。配当に着目して銘柄を選ぶとしても経営環境の変化や業績の行方を油断せず見続ける必要があります。

足元の株価水準への目配りも大切です。株価が割高なときに投資すれば、いくら配当が好調だからといっても投資元本に対するリターンは低くなってしまいます。例えば年間配当2円を見込む銘柄を株価100円のときに購入し、1年後に配当をもらうとすると年利回りは2%、200円のときに買えば同1%です(株価が不変と仮定)。

予想1株配当を現在の株価で割った配当利回りは、東証1部企業の平均で約2%です。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用本部長は「配当の安定性だけでなく将来の成長期待を反映して株価は動く」と言います。長期投資の銘柄選びでも様々な角度から企業を見ていく必要があります。

[日本経済新聞朝刊2019年5月4日付]