2019/5/7

記事

緩和正常化どころか、次の政策変更は追加緩和とする見方すら出た。日銀の黒田東彦総裁も、2%目標に向けた物価上昇のメカニズムに変調が生じるなら、追加緩和を辞さないという考えを明らかにした。

日銀の追加対応の手段は表Bの通りいくつかあるが、最も注目されるのは利下げだ。短期政策金利(マイナス0.1%)や長期金利の誘導目標の引き下げである。実施すれば金利は一段と下がりそうだ。

ただ、簡単には動けないというのが日銀内の空気。金利低下は銀行の収益や機関投資家の資産運用にマイナスに働くからだ。

日銀には苦い記憶がある。16年にマイナス金利政策導入を決めた後の市場混乱だ。金利低下による円高防止を狙った策だったのに、金利低下と円高が同時進行する誤算の展開になった(図C)。銀行収益に打撃を及ぼすとの受け止め方から金融株中心に株価が下落。投資家のリスク回避姿勢が強まり、「安全通貨」とされる円が買われた。

長期では固定型

こうした経験を踏まえ日銀は利下げはできるだけ控えようとするだろう。円相場が1ドル=100円を突破する勢いを見せるなど、経済環境がかなり悪化するまで温存する可能性がある。

ただ日銀は景気減速を座視しにくいのも事実。そこで利下げに代わる対応になりうるのが先行きの政策に関する指針(フォワードガイダンス)の修正だった。緩和策を粘り強く続ける姿勢を印象づける措置で、日銀は25日、それを決めた。