難関大より世界人材めざせ 三田国際、改革4年の軌跡三田国際学園の大橋清貫学園長に聞く

設備も充実させてきた。2つのサイエンスラボには無菌状態で作業できる安全キャビネットや蛍光顕微鏡など最新の実験器具がそろう。理化学研究所や大学でも研究を続けているような教師の存在も大きいという。「熱心な保護者の方たちは『どんな先生がいるか』まで確認して受験を決める」と大橋氏。こうした循環が理系生徒への磁力も生んでいるようだ。

空き教室目立った戸板時代

校内にある自習室。階上にはさまざまな本が並ぶ=三田国際学園提供

そんな活気も6年前には影も形もなかったという。

「今日はお休みですか?」。初めて戸板を訪れた13年、大橋氏はこう質問したのを今も覚えている。「それくらい空き教室が目立って静かだった」と振り返る。当時は定員割れが続き、生徒数は中高合わせて300人ほどしかいなかった。

東京は私立の女子校がひしめく激戦区だ。「少子化が進み、一部のトップレベルのブランド力がある女子校しか生き残れない時代が来ているのは明らかだった」(大橋氏)

戸板学園の理事長から声がかかったとき、大橋氏は同じように定員割れの苦境にあった順心女子学園を広尾学園へと変身させ、「ひと通りやりきった感があったので、任期満了で区切りをつけようと思っていた」。こうして大橋氏は、2度目の女子校てこ入れに乗り出すことになったという。

第2の広尾学園、つまり進学校をつくるのだろう――。塾やライバルでもある私学関係者は当初そうみていたようだ。しかし、大橋氏の考えは少し違っていたという。

大橋氏は「ヒントは保護者の声にあった」と話す。大橋氏は毎年、多くの保護者と会い、ひと家族につき1時間ほどじっくり話を聞く。話を聞くうちに「第一線で働く保護者から、企業で何が起きているかを知った」(大橋氏)。

保護者の声は切実だった。いわく……「難関大学を出た人材を採用しても、全員が『使える』とは限らない」「海外から有能な人材が入ってくる。英語力はかなわないし、受けてきた教育の質が違うから日本の偏差値教育では太刀打ちできない」。

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