片脚立ちに1日ガム3回 脳を鍛える食と運動の新習慣
脳の老化対策(下)
前回記事「『ちょい忘れ』減らす脳習慣 空き増やし記憶力鍛える」では、低下しがちな前頭前野の機能やワーキングメモリの働きを向上させる2つの脳習慣を紹介した。3つ目の習慣は「運動と食事」。基本的に、体にいいことは脳にもいい。生活習慣病を遠ざける運動や食事は、結果的にアルツハイマー型認知症の予防にも効果が期待できるといわれる。脳を若々しく保つ秘訣でもある。
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脳の老化を防ぐために特に重要なのが、運動と食事だ。
「運動によって脳の血流が改善され、意欲や学習に関わるドーパミンが放出されるからです。ストレッチや軽い体操でも、同様の効果が期待できることが分かっています」と話すのは認知症や脳のリハビリに詳しい医師の長谷川嘉哉さん。
適度な有酸素運動が脳機能を高めることは、幾つもの研究報告で明らかになっているが、もう一つ大切なのが、筋肉を鍛えること。特に、下半身の大きな筋肉を鍛えて基礎代謝を高めれば、肥満を遠ざけ、糖尿病など生活習慣病のリスクを減らすことにつながる。激しい筋トレよりも、次に紹介するの片脚立ちのように自分の体重を負荷として利用して、どこででもできるトレーニングがお勧めだ。
「例えば、糖尿病はアルツハイマー型認知症と血管性認知症の両方のリスクを高めます。運動習慣を持つ、食事では筋肉をつくるたんぱく質をきちんととる、糖質をとり過ぎないことは、脳のためにこれから大切にしたい習慣。特にラーメン+チャーハンなどの糖質オン糖質の食事は避けましょう」。
そしてよく噛(か)むこと。「1回噛むと、3.5mLの血液が脳に送り込まれます。口の周りの口輪筋も動き、顔の筋肉を介して、脳に刺激を与えることになります」
(文 中城邦子、写真 竹井俊晴、イラスト 村林タカノブ)
認知症専門医。1966年、愛知県生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。医学博士。毎月1000人の認知症患者を診察する認知症専門医。脳リハビリにも詳しく、講演でも活躍。著書は『一生使える脳』(PHP新書)ほか。
[日経おとなのOFF2018年11月号記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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