宮下草薙、コンビ不仲もネタ 妄想膨らむネガティブ芸
20代の若手芸人、宮下草薙をバラエティーで目にする機会が増えてきた。ささいなことから草薙(写真左)がネガティブな妄想を次々に繰り広げ、宮下(右)がそれを優しくなだめる漫才を得意とする。若手の注目株だ。
2016年にコンビ結成。昨年正月の『ぐるナイ おもしろ荘』(日本テレビ系)でテレビ初出演を果たした後に『ネタパレ』(フジテレビ系)や『にちようチャップリン』『ゴッドタン』(共にテレビ東京系)などの番組で活躍するようになった。
注目度上昇のきっかけは、度が過ぎるほどネガティブな草薙のキャラクターだ。昨年10月の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「人見知り芸人」出演時、宮迫博之に「テレビ史上1番声が小さい」と言われた草薙は、漫才のネタを思わせるほどのマイナス思考ぶりを発揮。スタジオの爆笑を誘い、年末恒例企画「アメトーーク!大賞」で新人部門大賞に輝いた。今年はさらにバラエティー出演が増え「街で声をかけられることが多くなった」と声をそろえる。
芸人を目指した理由は、「小3の頃、本気で『バカ殿』になりたいと思ってました。その後、さまぁ~ずさんに憧れるようになり、中学生の頃には自分もやってみようと決めました」(宮下)、「16~17歳の頃に『爆笑レッドシアター』を見てはんにゃさんを好きになり、ああなりたいなと思って」(草薙)。
高校中退という共通点を持つ2人は、13年に太田プロエンタテイメント学院の同期として出会った。コンビを組んでは解散していた草薙に、ピン芸人志望の宮下が声をかけた。「草薙が3回目に解散したときに、芸人をやめそうな雰囲気だったんです。この面白さを世に出さないのはもったいないと思って、自分が"じゃないほう芸人"になる覚悟で(笑)、声をかけました」(宮下)。無所属ながらライブを中心に活動し、激戦で知られる『おもしろ荘』のオーディションを通過した。同番組の放送後、晴れて太田プロダクションに所属が決まった。
ネタ作りは草薙が担当。「最初のうちは直接台本を渡していたんですが、読んでいるときの反応を見るのが不安で、今はLINEで送ってます」(草薙)、「結成当初は5本のうち1本しか残せないくらい、僕からのダメ出しが多かった。今は2本に1本が残っていて、1カ月に1本いいネタができればいいかな、というペースでやってます」(宮下)。
テレビではコンビ仲が悪いこともたびたび話題に。お互いに直してほしい部分を聞いてみると、「怒りっぽいところ。草薙は何かあるとすぐにかんしゃくを起こすんです」(宮下)、「お笑いに厳しいところ」(草薙)。才能を引き出そうとする宮下が、傷つきやすく怒りっぽい草薙をなだめながら活動している様子は漫才そのものだ。
ハナコや霜降り明星ら、20代で活躍する芸人が増えてきたなか、この2人からも目が離せない。
(日経エンタテインメント!4月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2019年4月26日付]
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