岩崎弥太郎の組織作りに共感 タイ人学生が見た現場力エイミー・アサワテワウィス氏 (タイ生まれ)

「私は、企業は1つのコミュニティーのようなものだと考えています。良いコミュニティーをつくるには、コミュニティーの中にいる人が、良く知っている人を紹介する、というのが結果的にうまくいくと思います。たとえば友人の紹介で入社したのに、成果をあげられなければ、友人の評判をさげることにつながってしまいますから。現場においては特に信頼関係が大事です。岩崎弥太郎が、創業後しばらくは周りを信頼できる土佐出身者で固めたというのは、とてもよく理解できます」

タイはなぜ急速成長ができなかったか

――日本の歴史に関しては、戦後の高度経済成長についても学んだそうですが、タイの経済成長に参考になりそうな点はありましたか。

「タイはなぜ日本のように急速に経済成長できなかったのか、と深く考えさせられました。その要因を考えてみると、やはり政策の問題と人材の問題に行きつくのではないかと思います」

「タイ政府の課題は政権と政策がとてもよく変わるため、有効な産業政策を継続的に実施できないことだと思います。戦後の日本のように、この業種にこの期間、集中的に資本投下する、といったことができなかったのです。また優秀な人材を確保できていないことも課題だと感じています。タイのトップの大学に通う学生の間で就職先として特に人気があるのは、金融か、経営コンサルティング会社です。中には政府に就職する人もいるのですが、やりがいを感じられずにやめてしまうと聞きます。タイ政府も日本のようにもう少し、エリート学生にとって魅力のあるようなキャリアパスを提供すればよいのに、と思います」

「日本では戦後、最高ランクの大学を卒業したエリートが、国のために一丸となって働き、高度経済成長をけん引してきました。日本の経済成長からタイが学べることはまだたくさんあると思います」

――新幹線の清掃を請け負うテッセイやトヨタ自動車からは、どのような影響をうけましたか。

「テッセイの事例は、流通企業で働いてきた私にとって、とても印象深いものです。新幹線には何度も乗ったことがありますが、新幹線車両を専門とする清掃会社があることは初めて知りました。私が清掃スタッフの方々の話を読んで、まず思い起こしたのはタイのスーパーマーケットの現場で働く人たちの姿です」

「スーパーマーケットの仕事も清掃と同じように、限られた時間の中で、いくつもの業務をこなさなくてはなりません。とても緊張を強いられる仕事なのです。たとえばレジ係。顧客が長い列をつくっているのがわかっていても、レジを打ちながら、クーポンを配ったり、ポイントカードを持っているか聞いたり、やらなければならないことが山ほどあります。私自身も商品の棚卸しや陳列を担当したことがありますが、覚えることがたくさんある上に、肉体的にもきつい仕事であることを身をもって体験しました」

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