――外国人の中には「日本人はお辞儀をしすぎる」という方々もいます。日本人からお辞儀をされたのでお辞儀をしたら、またお辞儀をされて、永遠にお辞儀がおわらないと(笑)。

「私自身は全くそのようには思いませんでした。『お辞儀』は、日本が伝統的な文化を守り続けていることの象徴のように感じました。多くの国では伝統ある文化や礼儀作法が失われつつあります。日本人が、相手を敬う気持ちをもってお辞儀をする、という習慣を長い間、保ち続けているのはとても驚くべき現象だと思いました。

顧客目線の回転する座席

――乗り心地はいかがでしたか。

「新幹線はとにかく快適でした。常に進行方向に向いて座れるからです。ご存じかもしれませんが、ヨーロッパの列車の座席は回転しません。進行方向と逆向きでもそのままです。私はあの後ろに進んでいく感覚がずっと苦手でしたから、『回転する座席』は、乗客思いのすばらしいアイデアだと思いました」

「それから、座席周りにゴミがなく、清掃が行き届いている点も素晴らしいです。ヨーロッパの列車は、乗り込んだときに『前の人のゴミが残っている』ことが多々あるのです。これは乗客としてはかなり不快なものです」

――ヨーロッパの高速鉄道はいつ清掃するのですか。

「私の知る限り、運行中だと思います。ヨーロッパの電車に乗っているとよくスタッフが乗り込んできて、動いている車両の中でゴミを集めていきますので。ところがこれには問題があって、スタッフが行ってしまった後に出たゴミをそのまま座席周りに残していく乗客がいるのです。日本の新幹線が清潔なのは、折り返し駅で毎回清掃する時間を設けているからだと実感しました」

インターンで知った清掃業務の重要性

――ハーバードでは新幹線の清掃会社、テッセイの事例を学んだそうですが、ヨーロッパでは清掃の仕事をどのような方々が請け負っているのですか。

「移民の方々が多いですね。移民してきたばかりでその国の言葉がうまく話せない、十分な教育を受けていないという理由で、給料の高い仕事が見つからず、しかたなく清掃の仕事をしている、という印象です。アメリカでも同じ状況だと思います。しかし私は、清掃は文明社会にとって不可欠な仕事であり、清掃をしている方々をプロとしてもっと評価してもよいのではないか、と感じています」

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優れた企業文化の重み学ぶ