加齢とともに増えてきた、知っている名前や数字がすぐに出てこない「アレ何だっけ?」現象。どうしたら、いつまでも働きモノの脳でいられるのか。医師の長谷川嘉哉さんに聞いた。
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人の名前が出てこない、大事な数字を忘れる。なぜ、加齢とともに「アレ何だっけ?」は増えるのだろうか。
脳全体には千数百億個もの神経細胞があり、それらがネットワークをつくっている。加齢に伴う神経細胞の死滅や、使われないネットワークの縮小により、脳は少しずつ萎縮していく。「個人差や部位による差はありますが、特に萎縮が早いのが前頭葉です」と、認知症や脳のリハビリに詳しい医師の長谷川嘉哉さんは言う。
ここには「ワーキングメモリ」(作業記憶)という、入ってきた情報を一時的に保存して他の情報と組み合わせ、情報に優先順位をつけて処理する機能がある。いわば脳の司令塔だ。しかし、「その処理能力は加齢とともに衰え、50代ではピーク時よりも30%ほど低下します」
脳は入ってきたさまざまな情報を短期記憶として仮置きしておくが、繰り返し使われることで、海馬が重要な情報だと判断して、長期記憶に移される。その橋渡し役をしているのもワーキングメモリ。このため、ワーキングメモリの働きが低下すると、必要な情報をうまく引き出せなくなるのだ。
まずは2つのテストで、脳の老化の危険度と前頭葉機能をチェックしてみてほしい。
(※テスト2の正解は次ページをご覧ください。)