ホンダの電動小型二輪 静寂な走り、燃費100キロ超

「燃費」はガソリン車の2倍?

気になるのはランニングコストだろう。

通常、車やバイクの経済性を表すのに使われるのは、1リットルのガソリンで何キロ走れるかという「燃費」だが、ガソリンを使わない電動バイクの場合は別の計算が必要になる。バッテリーを満充電するのに必要な電力量からざっくり比較してみた。

2個のメインバッテリーを充電するのにかかる電気料金は「1kWh=25.98円」換算で54円。一回充電当たりの航続距離は41キロなのでキロ当たり1.3円。ガソリンの価格を1リットル145.6円とすると、ガソリン1リットル分の電気料金で112km走ることになる。

ガソリン車「PCX」の燃費は54.6km/L(定地燃費値/2名乗車時)なので、上記計算では燃費は2倍いいと言える。前提となる電気・ガソリン料金によって数値は変わり、またガソリン車のPCXの燃費が「2人乗り」前提のため正確な比較ではないが、日常のランニングコストという点で電動バイクのほうが経済的なことは間違いないだろう。

ただ現状、車体価格は電動バイクのほうが高く、バッテリー寿命もある。トータルで得になるかどうかは別問題だ。

乗り心地の良さは格別

今回初めて電動バイクに乗車し何より驚いたのは、乗り心地の良さだ。エンジン搭載マシンに人が直接またがるバイクでは、操縦者は燃焼機関から発せられる音と振動に常にさらされる。大型スポーツバイクだけでなく、小型スクーターでも程度の差こそあれ一緒だ。

花見客でにぎわう公園駐輪場でも静かな電動バイク

ところがこのPCX ELECTRIC、走行音がほとんどない。エンジンから来る振動もない。右手でスロットルを回しアクセルを開くと、すっと路面を滑るかのように静かに走り出す。まるで浮遊感すら感じる新感覚の乗り心地だ。

振動がないと、長時間走り続けても疲れない。「音も振動もないなんて物足りない」という声も聞かれたが、実際に乗ると、従来のバイクとは異なる快適性・楽しさがそこにはある。例えば、バイク走行中に周囲の音、鳥のさえずりなども楽しめるし、近隣の家や周囲の歩行者に対しバイク騒音を気にしなくて済む。筆者の場合は、バイクに乗車しながらアクションカメラで美しい映像を撮ることができた。

正直静かすぎて、夜の住宅街では、前方を歩く歩行者や自転車に気付かれにくいリスクが発生するほどだ。といっても音が全くないわけではなく、「クイーン」という、どこか近未来的なやや高域のモーター音がある。四輪EVの走行音を想像してもらうと近いかもしれない。

エンジン車との違いのもうひとつは「加速性能」だ。特に走り出しの加速性能が非常にいい。PCX ELECTRICはスペック上最高速度60キロで、流れが速い幹線道路での走行に不安の声もあがっていたが、モーターならではのスムーズな加速で「走りやすい」と感想をSNSに投稿するモニターも少なくない。

一方、最高速度と高速時の加速性能という点ではガソリン車に軍配が上がる。モータースポーツ用の高性能な電動バイクも登場し始めているが、高価すぎるバッテリーゆえ量産型で同様の性能を実現するのは現状ではまだ難しいようだ。

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航続距離が最大のネック
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