パラアート、新鮮な色に刺激 元乃木坂46若月さん「パラリンアートカップ」審査員が語る

――二科展のデザイン部門では7年連続の入選です。いつごろから絵を描くようになったのですか。

「幼稚園のころから絵は好きでした。小学生になってパソコンの中のペイントツールを使っていましたね。でも、当時はマウスだけですから、できる表現は限られていました。手書きの絵をスキャンして(パソコンで)色を付けるぐらい。中学生のときにペンタブ(ペン入力型のタブレット)を買ってもらって表現の幅が広がりました。暇があったら何をしたい、と聞かれれば『絵を描きたい』となっていました」

乃木坂46のメンバー時代から二科展デザイン部門に出品した

――女優とデザイン画創作との「二刀流」に無理はないですか。

「お芝居のときは『作品としての自分』でいるので、普段の『素の自分』でいる時間に何か形に残せるものはと言えば、私の場合は絵。バランスよく(両立が)できていると思います。趣味ですから、気楽に、自分らしい作品ができればいいのかな」

「自分の感情を色や形で表す絵を描くことが多いので、悩んでいるときは寒色系の色が多くなったり、モチーフとして三角形のように角がある形が多くなったりしますね」

――どんなときに絵を描きたいと思うのでしょうか。

「忙しいときの方が創作意欲はわきますね。例えば、女優としてシリアスな役を演じていれば楽しいという感情は出せないですから、自分の感情を発散させる場所が必要です。時間に余裕があるときは友達と一緒に外に出かけて楽しさやうれしさを共有できますが、そんな時間を持てないときには『この喜びを何にしよう、絵にしよう』と考えます」

――うまくなっていると感じるのはどういうところですか。

「すべて独学なので、特にうまくなったり、デッサンが細かくなったり、というのはありません。ただ自分の絵というものが自分でわかるようになってきました」

「私は植物を描くことが多く、花や葉っぱを組み合わせてひとつの絵にするんですが、よく見ると花じゃないのです。何かを見て模写しているのではなく、頭の中で空想した花を描いているだけなので何の花でもない。一見すると桜に見えるのですが、桜にしては花びらの数が多いとか、タンポポにしては中心部分が別の花の形をしているとか。仮想のモノと現実のモノのはざまの部分を見てもらえたらいいな。そんなふうに最近、思い始めています」

――20年には東京五輪・パラリンピックがあります。日本の文化を世界の人に知ってもらう機会になるとも期待されています。

「日本の文化の良さは奥ゆかしさ、細やかさですね。淡い色使いでも、例えばグレーでもいろいろなグレーがあります。曖昧な色ですらいろいろな種類をつくっています。普段、様々な作品を見ていると、その細やかさがすてきだなと思うので、海外の方にも見てもらいたい。『こんな色は見たことがない』とか、『表現しづらいけれど、いい色だね』とか思える作品がたくさんあるので、それらを知ってもらえたらいいですね」

――オリパラ・ムーブメントに合わせ、女優やアーティストとしての活動を展開する予定はありますか。

「いや、ないですよ。来年は頑張らないとヤバいなと思っているぐらいなんですけれど(笑)。自分も何かしら、今持っているすべてを使って海外の方に向けて(日本の文化を)知ってもらいたいし、日本の方にも改めて知ってもらえるといいなと思います。来年は日本がとても盛り上がるでしょうから、その勢いや波に気持ちが乗っていけるように頑張らないといけないですね」

(聞き手は山根昭)

若月佑美
1994年静岡県生まれ。2011年に女性アイドルグループ、乃木坂46の1期生としてデビュー。絵やデザインが得意で、12年に二科展デザイン部門で芸能人として初の入選を果たす。18年に乃木坂46を卒業し、女優としての活動を本格化させている。
SOMPOパラリンアートカップ
一般社団法人障がい者自立推進機構が主催するコンテスト。損害保険ジャパン日本興亜がトップスポンサーになり、日本経済新聞社などがメディアパートナーを務めている。2019年はデジタル絵画、色鉛筆画、水彩画、油絵、切り絵などを募集。サイズはA4からA0まで。応募期間は5月1日から9月20日。11月まで審査し、12月に表彰式を開催する。問い合わせはパラリンアートカップ2019運営事務局まで。電話03・5565・7279、メールはparalymartcup2019@jmcom.co.jp
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