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次世代リーダーの転職学

中小の事業承継で転職ニーズ 次期社長含みのケースも エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

2019/5/10

なお、昨今、後継者となる子供のプロフィルには以下の傾向が見られます。

・後継者としての「帝王学」を学ぶことなく成長し、社会人になっている
・大都市圏の大学に進学している ※海外大学に留学しているケースも
・新卒で入社した企業は大手かつグローバル企業。よって、経営ポジションには遠い
・経営に関する意識は強く、グロービス経営大学院、慶応・早稲田大学院などに通ってMBA(経営学修士)を取得している
・地元を離れてから長くたっており、親子間での距離がある

●採用ターゲットとなる人材像
・30代~40代
・営業、マーケティング、経営管理、経理・財務、人事・総務、技術など、何らかの専門分野での経験・スキルを持っている
・経営への志向があり、4~5年の間に経営の視点やスキルを身に付けるポテンシャルを持っている

次期社長を支える目的での人材ニーズには、上記以外のパターンもあります。さらに上の年代の経営経験者に、「次期社長を経営者として育成してほしい」というものです。親子という間柄では、感情のもつれから衝突が起きたり、逆に遠慮や気配りが過ぎたりと、適切な指導ができないことも。そこで、父である現社長が「自分の代わりに子供を経営者として育ててくれる人」を求めているのです。この場合の採用ターゲットは1)に近いといえるでしょう。

親から子供へのバトンタッチでも、サポート人材が必要なケースがある。写真はイメージ=PIXTA

4)顧問、社外取締役などを招へいする

既存社員で経営を引き継ぐものの、承継の機会に事業や組織を整理したい、ブラッシュアップしたい、変革したい、ある程度戦略を定めたうえで渡したいといったニーズもあります。この場合、正社員として採用するのではなく、顧問、社外取締役、業務委託といった形で支援してくれる人材を求めるケースが増えています。

●採用ターゲットとなる人材像
・経営企画、経営戦略など、全体を俯瞰(ふかん)して見られる人
・別の会社ですでに経営に携わっている人
・元・経営者で、現在は業務委託や顧問として複数企業を支援している人
・高度な専門性を持つ人

このパターンのメリットは、すでにあるリソースを活用して経営に携われることです。

■事業承継タイミングで入社するメリット・やりがいは

こうした事業承継タイミングを迎えた会社に入社するメリット、醍醐味はどこにあるのでしょうか。挙げられるのは次のポイントです。

・「経営がしたい」「経営者に近いポジションで働きたい」が実現できる
・リスクが高い「0→1」フェーズのベンチャーとは異なり、築き上げられた基盤やリソースを活用しながら新たなチャレンジができる
・株式も承継する場合、価値を高めることで収入に反映される
・地方企業の求人が多く、故郷へのUターンや、好きな土地へのIターンがかなう

一方、注意すべき点もあります。まず、承継タイミングで練り上げる今後の計画に関して、「どこまで本気なのか」ということ。計画の変更により、思い描いていた仕事ができなくなる可能性もあります。また、社長の希望と親族の思惑がずれていることもあり、それがトラブルにつながるケースも。株式を誰がどのような形で保有しているかを確認しておきたいものです。承継のタイミングで「変革」を図る場合、既存社員との関係構築、融合にも苦労が伴うでしょう。そのあたりの覚悟は必要といえます。

しかしながら、優れた商品・サービス、顧客やファンを多く持ちながら廃れてしまう可能性がある企業の支えとなり、次の発展を目指すミッションは、大きなやりがいを感じられるものだと思います。

森本千賀子
morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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