「24時間営業」の次へ現場行脚 ファミマ・沢田社長ファミリーマート 沢田貴司社長(下)

(左)沢田貴司氏 81年(昭56年)上智大理工卒、伊藤忠商事入社。97年ファーストリテイリング入社、98年副社長。02年にファストリ退社後、企業支援会社のリヴァンプなど設立。16年ファミリーマート社長。石川県出身(右)白河桃子さん(写真: 稲垣純也、以下同)
(左)沢田貴司氏 81年(昭56年)上智大理工卒、伊藤忠商事入社。97年ファーストリテイリング入社、98年副社長。02年にファストリ退社後、企業支援会社のリヴァンプなど設立。16年ファミリーマート社長。石川県出身(右)白河桃子さん(写真: 稲垣純也、以下同)

24時間営業の問題で注目を集めるコンビニエンス業界。ファミリーマートでは2016年に沢田貴司社長が就任以来、次々と業務改革を手がけています。現場でレジ打ちまで体験した経営者がコンビニエンスストアの24時間営業と人手不足の問題などにどう取り組んでいくのか、前回の「マニュアル10分の1 余計な仕事削減 ファミマ社長」に引き続き、沢田社長にお聞きしました。

「沢田めし」と「サワスタグラム」で関係性作り

白河 前回は店舗についてお聞きしましたが、本社についてはいかがですか? かなり組織改革をされたそうですが。

沢田 やはり経営統合を繰り返して成長してきた経緯から、組織にダブつきが生じていました。複数の会社が統合してきた過程でマニュアルのページ数が純増したのと同じで、管理職の数も多くなり過ぎていた。かなり整理してきましたので、管理職のポストを外れた方も少なからずいると思いますが、これは仕方のないことです。結果を残せないリーダーは、私も含めて変わらないといけない。

白河 組織改革には、抵抗や物議は避けられないと思いますが、「やるしかない」という意気込みですか。

沢田 結果が出るのはこれからだと思います。成長戦略に対して横を向く人に対しては厳しく評価せざるを得ないし、物理的にポストを代わっていただくしかないですよね。

白河 厳しくメスを入れつつも、「沢田めし」と呼ばれる交流目的のランチも社内で積極的になさっているのだとか。

沢田 そうですね。社員はこれまでに1700人ほど参加してもらったほか、加盟店やお取引先の皆さんもお招きしたりと、いろいろな方とランチをご一緒しながらお話を聞かせてもらっています。

白河 本質的な改革を進めるのと同時に、本音を言い合える関係性づくりにも力を入れていらっしゃるのですね。

沢田 それが社長としての私の仕事だと思っています。昨年、「サワスタグラム」という、社長の動向や会社の動きを写真や動画でタイムリーに投稿する社員専用SNSも立ち上げ、日々の気づきや、加盟店の皆さんとのエピソードなども全社員に共有しています。

白河 やはり、現場目線を徹底されていることが分かりました。

沢田 現場を分からずして、経営を語ってはいけないと思っています。トップである私が現場を理解していない発言ばかり繰り返していたら、加盟店の皆さんや社員は失望しますよね。現状を分かっていない上司の下で働くことってストレスじゃないですか。まあ、商社時代に私が会社を飛び出した理由でもあるのですが。

その経験から、自分は絶対に現場を分かろうとするリーダーでありたい、という強い思いはあります。それでもやっぱり十分ではないでしょうから、社員からすると「沢田は分かっていないじゃないか」と思われているかもしれませんけど(笑)。

ユニクロの柳井さんから学んだこと

白河 沢田社長は、リヴァンプ時代に「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を日本に展開して経営された経験もあって、小売りの現場については精通されていたとは思いますが、コンビニ業界に入ってさらに研究を深められている印象ですね。やはり「よその業界」から来たからこそ、より真っさらな目で常識を疑い、改革を打ち出せるということはあるのでしょうか?

沢田 「よそ」から来たからこそ、おかしなことを「おかしい」と言える、ということはあると思います。ただ、同じ業界に何年いても強い意識さえ持てば、改革は可能ではないでしょうか。柳井さん(柳井正ファーストリテイリング会長兼社長)は、常に目の前のことを「これで本当にいいのか」「改善すべきことはないのか」と自問されていました。常識を全然信じないし、成果があがっても決してそこに安住しない。そばで働かせてもらいながら、柳井さんのこの姿勢は学びたいといつも強く思っていました。