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写真はイメージ=PIXTA

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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室合同会社代表社員の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

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前回「事故はオフィスで起きている 労災をどう防ぐ」では、オフィスに隠れている労働災害の「芽」についてご紹介しました。今回は「乗り物」のケースを取り上げたいと思います。通勤や仕事で、自転車やバイク、自動車を利用しているときに、思いがけない事故に巻き込まれることがあります。自転車やバイクでスリップ、横転して骨折したり、営業車やタクシーでの衝突事故や追突事故――。至るところにケガをする危険性は潜んでいるのです。

まずご紹介するのは、30歳代前半の男性会社員の事例です。遅刻や欠勤など、勤怠不良が目立つことから「メンタルヘルス不調ではないか。確認してほしい」と人事部から産業医に依頼がありました。その会社に転職したばかりの社員で、よくよく話を聞いてみると、前の会社に勤めていたときに、取引先を訪れるために乗っていたタクシーで事故に遭ったというのです。

事故は運転手の不注意が原因だったのですが、後部座席に座っていた彼はシートベルトをしていなかったため、頭部を車内で強く打ってしまいました。その後、激しい頭痛を訴えることが続きました。しかし、なかなか診断がつかず、6カ月ほどたってようやく「脳脊髄液漏出症」と診断されました。

この病気は脳脊髄液が脊髄を覆う硬膜から漏れ出してしまうために起きると考えられていますが、頭痛がないときは外見上健康そのものに見えるため、「怠けている」と誤解されがちな病態です。

シートベルトさえしていれば

男性はその後遺症から転職先でも苦労することになったのです。幸いなことに専門医を継続的に受診するなどして症状が落ち着き、勤怠が安定、現在も勤め続けているそうです。

ここで改めて注意していただきたいのは、シートベルトです。シートベルトさえ着用していれば、不幸な事態は避けられたかもしれないのです。タクシーであろうと営業車であろうと、助手席であろうと後部座席であろうと、車に乗る際は必ずシートベルトを着用していただきたいですね。まさに後悔先に立たずです。

当然、事業者はこうした労災を防ぐためにより一段の取り組みが求められます。最近では事故時の映像を記録するドライブレコーダー(ドラレコ)の普及が進んでいます。こうした装置の活用も有効でしょう。

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