検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

内戦から奇跡の復活 アフリカ、ゴロンゴーザの自然

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

内戦で壊滅的な被害を受けたアフリカ南東部のモザンビーク。この国の中部にあるのがゴロンゴーザ国立公園だ。ナショナル ジオグラフィック5月号では、現在進行している再生プロジェクトを通じて、自然と人間の新たな共存についてレポートしている。

◇  ◇  ◇

ゴロンゴーザ国立公園には、現在650頭を超すゾウが暮らしている。かつて公園内にいたゾウは、1977年から92年まで続いたモザンビークの内戦中に、ほとんどが殺されてしまった。武器や弾薬を買う資金源として象牙や肉が狙われたのだ。だが、停戦後は個体数が急速に回復している。

内戦が終わった直後の1994年と比較すると、ライオン、アフリカスイギュウ、カバ、オグロヌーといった大型動物が大幅に増えているのだ。野生動物の保護に関して、これほどの規模で成功を収めている例は珍しい。

これは、モザンビーク政府と米国のグレゴリー・C・カー財団が2004年に始動させた「ゴロンゴーザ再生プロジェクト」による一連の活動の成果だ。このプロジェクトでは、ゾウやカバやライオンにとっての楽園は、公園の外で暮らす人間にとっても楽園であるべきだという、新たな共存を目指している。

破壊と喪失の歴史

ゴロンゴーザ国立公園は、アフリカ大陸を南北に貫く大地溝帯の南端に位置する低地にあり、サバンナ、森林、湿地、大きなウレマ湖と、多彩な自然を擁する。もともとは植民地時代の宗主国ポルトガルが、狩猟を楽しむために住民を追い出し、1921年に設けた狩り場だった。60年にモザンビークの国立公園第1号となったときには、ゾウ2200頭、ライオン200頭、アフリカスイギュウ1万4000頭をはじめ、カバやインパラ、シマウマ、オグロヌーなど、アフリカを代表する動物が数多く生息していた。

だが公園があまりに奥地にあり、目が届かないことが裏目に出た。モザンビークは1975年の独立後に内戦へ突入するが、この間、右派の反政府組織「モザンビーク民族抵抗運動」(RENAMO)が、ゴロンゴーザを格好の隠れ場にしたのだ。やがて、迫って来た政府軍との間で戦闘が勃発した。公園本部はロケット砲で破壊され、サバンナは殺りくの舞台となった。このときはゾウだけでなく、シマウマなどの大型動物も、食料のために、あるいは憂さ晴らしのために標的にされ、何千頭も殺された。

1992年の和平協定で停戦の合意が結ばれたが、密猟は続き、周辺住民も食料確保のために罠を仕掛けた。21世紀を迎える頃のゴロンゴーザ国立公園は完全に荒廃していた。

公園の外の状況も深刻だった。現在、再生プロジェクトで「緩衝帯」と呼ばれている5180平方キロの地域には、かつて約10万人の人々が暮らしていた。住民のほとんどはトウモロコシなどを栽培してやっと生き延びていた状態で、教育も医療も十分に受けられなかった。

繰り返される破壊と喪失に収束の兆しが見え始めたのは2004年。当時のモザンビーク大統領ジョアキン・シサノが米国人実業家グレゴリー・カーに招かれ、米ハーバード大学で講演したときのことだ。

「シサノ大統領は国立公園に愛着をもっていました」とカーは言う。カーは2004年に初めてモザンビークを訪問し、そこで大統領から直々にゴロンゴーザ再建を要請された。

3年後、カーは政府と長期契約を結んだ。彼は資金の提供や運営の才覚を発揮するだけでなく、ゴロンゴーザを「人権を守る公園」にする構想を正しく理解していた。それは、自然の風景や水源、あらゆる生物の多様性を守るのに加え、周辺に暮らす人々にも、医療や教育の機会、農業技術や経済の向上といった具体的な恩恵をもたらすことだ。

あるとき、公園の森林管理責任者であるモザンビーク人のペドロ・ムアグラが、会議で一つの提案をした。木々が伐採された山腹でコーヒーを栽培したらどうだろう? コーヒーは木陰で育ちやすい。原生種の木を植えて木陰をつくれば、森林の再生にも収入にもつながる。

衝突が断続的に続く交戦地帯で、コーヒー栽培と森林再生に挑戦するのは勇気がいる。それでも地元の農家はこの試みを受け入れているようだ。再び戦闘が勃発した2014年にも、夜間にコーヒーの若木に水をやる女性たちの姿があったという。

自然には回復力が備わっている。それでも傷ついた自然を復活へ導くには、山腹に木を植え、密猟を監視するだけでは足りない。2018年には、戦乱で姿を消していた在来の捕食動物、リカオンの群れを大きな囲いの中で順化させた後、公園内に放した。

また、保護していたシマウマの小さな群れも、慎重に様子を見極めながら野生に返している。そうした獲物を狙うヒョウの姿が確認されたのも良い兆しだ。

(文 デビッド・クアメン、写真 チャーリー・ハミルトン・ジェームズ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィック日本版 2019年5月号[雑誌]

著者 : 日経ナショナルジオグラフィック
出版 : 日経ナショナルジオグラフィック社
価格 : 1,110円 (税込み)

[参考]ナショナル ジオグラフィック日本版5月号は、没後500年となる天才レオナルド・ダ・ヴィンチを特集。ダ・ヴィンチの着想は今なお私たちに影響を与えています。このほか海洋プラスチック汚染に迫る「プラスチックを食べる海の魚たち」、人と自然の共生を実現して復活する「輝きを取り戻すモザンビークの自然」(今回、ダイジェストで紹介)、神秘的な地下空間を探検する「ボルネオの巨大洞窟」などを掲載しています。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_