興味を引かれるモノがあれば見て触って、身につけて確かめてみる。ポルシェジャパンの七五三木(しめぎ)敏幸社長の未知なるファッションへの探究心は学生時代に芽生え、衣服へ靴へと広がった。ドレスコードが厳しい銀行員時代は靴で自己主張をし、輸入車販売会社に転職してからは自由を謳歌。各国の同僚と仕事をする中で、日本と外資系企業との服装の違いも見えてきた。
――米アップルの新製品発表会のように、新車発表会でもトップが舞台の上を歩きながらプレゼンする機会が増えました。当然、服装にも注目が集まります。意識していることは何かありますか。
「誰に何を訴えるのか、プレゼンの場の雰囲気作りでファッションは重要な要素です。昨年12月の新型マカンの発表会ではコーデュロイのジャケットとジャージー素材のパンツに、ウールのタイを締めました。この車が狙う30~40代に共感してもらえる服を着たい、とスタイリストに伝え、提案してもらいました。このように発表会に際してはスタイリストと服装を考えますが、普段は自分で選びますよ。服を見るのも買い物も好きですから」
■大学時代はイッセイミヤケのジャンプスーツも
――服や雑貨に関心を持ったのは学生時代からですか。
「メンズクラブを愛読していたアイビー少年でしたが大学2年生で一転、モードに染まりました。浪人生だった友達が大学に行かずに文化服装学院に入学し、毎日のように一緒にパルコに通っていました。大好きだったのがイッセイミヤケ。カーキ色のジャンプスーツ(上下が一体となっているつなぎ)や藍染めのパンツを手に入れた時は、彼にサイズを直してもらって着ていました。コムデギャルソンの白シャツは今でも持っています。当然もう着られないのですが」