慎重で公正な裁判を実現するための制度
皆さん、小学校や中学校で日本の裁判は「三審制」が採用されていると教わったかと思います。少しおさらいしておきましょう。
三審制とは、慎重で公正な裁判を実現するために採り入れられている制度であり、1つの事件について3回まで裁判を受けることができる仕組みです。第一審の判決に不服な場合には上級の裁判所に訴えることができます。これを「控訴」といいます。
さらに、第二審の判決に不服な場合、上級の裁判所に訴えることができます。これを「上告」といいます。裁判所が扱う事件には民事事件、刑事事件、家事事件などがありますが、相談の内容は貸金返還請求のケースですので、ここでは民事事件を中心に話を進めていくこととします。
請求金額、140万円以下なら第一審は簡裁
民事事件の場合、訴訟の目的となる価額(訴額といいます)が140万円以下の場合、第一審は簡易裁判所になります。貸金返還請求であれば、返還を求める金額=訴額になります。第一審が簡易裁判所になる事件では、第二審(控訴審)は地裁になります。そして、第三審(上告審)は高裁で、最高裁ではありません。
訴額が140万円を超える事件における第一審は地裁、第二審は高裁、第三審は最高裁となります。あなたの請求額は500万円とのことですので、第一審が地裁、第二審が高裁で審理されたわけですね。
控訴審は第一審の「続き」をする裁判
さて、三審制というと、運動会の綱引きのように、勝敗が1回ずつリセットされ、3回勝負ができるような感覚を持った人が多いように感じます。三審制という言葉は頭にインプットされているものの、どういう裁判を3回やるのか、具体的なことは小中学校で教わっていないので、無理からぬところではあります。
言葉のイメージからなのか、地方→高等→最高と上級審になるにしたがって、裁判官の「格」が上がり、審理がより丁寧になると思い込んでいる人もいます。これは大きな誤解です。