イメージ通りに動けない 加齢で衰える「巧緻性」とは

日経Gooday

写真はイメージ=(c)maridav-123RF
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日経Gooday(グッデイ)

体の健康を保ち、いつまでもパワフルに働くには、正しい運動と食事、そして休息のバランスが取れた生活が必要だ。そこで、著名なフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一さんに、遠回りしない、結果の出る健康術を紹介してもらおう。

今回は、年を取ると衰えてくる「巧緻性(こうちせい)」についてだ。体が思うように動かなくなる場合、この能力を高めるトレーニングが必要になる。

イメージした通りに体が動かないのはなぜ?

年を取ると、片足立ちでバランスを取るのが難しくなってくる。これは、「巧緻性」が衰えてきたことの表れだ。写真はイメージ=(c)sementsovalesia-123RF

人はみな、年齢を重ねると体の動きが悪くなる。例えば、何もないところでつまずいたり、階段の上り下りでバランスを崩しそうになったり、お釣りを受け取ろうとして落としてしまったり、という経験はないだろうか。

つまずいたら、脚の筋力が衰えたのかなと思うかもしれないが、それだけではない。これは「巧緻性」と呼ばれる、頭の中でイメージした通りに体を動かす能力の問題でもあるのだ。

フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは、「体を動かすときには、頭の中のイメージを実現するために、脳から司令が出て筋肉が動き、一つの動作が完成します。年を取るとこの一連の働きが低下して、体が思い通りに動きにくくなるのです」と解説する。

つまり、巧緻性には神経系の伝達が大きく関わっているというわけだ。

「子どものころから工作や絵画が得意な人がいますが、手の指をうまく動かして、頭の中のイメージを具体的に表現するためにも、巧緻性が必要です。手先が器用なのは、神経系の伝達がうまくいっているということです」(中野さん)

年を取ると、やはり手で細かい作業をするのが難しくなってくる。それも巧緻性の衰えなのだ。

前回記事「年々感じる『体力の衰え』 その正体と予防のコツ」で、年々感じる「体力の衰え」を回復させるための運動について中野さんに教えてもらった。それでは、巧緻性の衰えはどうすれば防げるのだろうか? 頭の中でイメージした通りに体が動かなくなり、立つ、歩くといった基本的な日常動作にも支障が出てきたら大問題だ。

脳と神経伝達系を鍛えるのも、運動しかない

「実は、歩いたり、階段を上り下りしたりといった普段の動作でも、脳は莫大な量の情報を処理しています。その最大の仕事は、片足立ちになったときにバランスを崩さないようにすることです」(中野さん)

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