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イメージ通りに動けない 加齢で衰える「巧緻性」とは

日経Gooday

2019/5/8

バランスを保つためには、視覚や足の裏の感覚、筋肉からの情報と、三半規管(前庭系)からの情報を小脳で処理し、骨格筋を動かす指令を大脳から出す必要がある。

「不安定な姿勢から回復しようとして筋肉を動かした後も、小脳が情報をチェックして、うまくいっていなければ、大脳から修正指示を出します。歩くという動作でさえ、多くの情報を小脳と大脳が瞬時に連携して処理しています。高齢になると、この神経伝達系が衰えることで、巧緻性が低下してくるのです」(中野さん)

筋肉の衰えであれば、筋力トレーニングをすれば対策できる。しかし、脳や神経伝達系は、どのように鍛えればいいだろうか。「実は、脳と神経伝達系を衰えさせないようにするためにも、やはり運動するのがいいんですよ」と中野さんは言う。

「脳を鍛えると言うと、パズルのようなものを解くイメージがあるかもしれません。でも、巧緻性の衰えを予防するなら、運動によって脳に多くの情報を処理させて、それを神経系が筋肉に伝えるということを繰り返す必要があります」(中野さん)

片足を前に出して体重を乗せる「フロントランジ」のような体が不安定になるトレーニングでも巧緻性を鍛えることができる。写真はイメージ=(c)maridav-123RF

神経伝達系もトレーニングによって鍛えられ、衰えを防止することができる。中野さんによると、積極的に歩いたり、走ったり、あるいは家の中で片足立ちすることでも巧緻性を保つことに役立つという。つまり、あえて体が不安定な状態を作り出すことが大切なのだ。

「お勧めなのは、バランスボールです。バランスボールに座って、体を安定させようとすることも効果的です。また、筋トレなら、片足を前に出して体重を乗せるフロントランジのような種目でも、体が不安定な状態になります。マシントレーニングのように、体を安定させた状態で行うよりも、自分の体重を使ったトレーニングのほうが、巧緻性を保つには役立つのです」(中野さん)

■幼少期に身につけた巧緻性は衰えが少ない

ここまでは、年を取るにつれて巧緻性が衰えてくる問題について考えてきた。一方で、「最近は子どもたちの巧緻性が低下してきていることも問題です」と中野さんは言う。

「実は、巧緻性は幼少期に一番発達します。特に“ゴールデンエイジ”と言われているのが、6歳から12歳くらいの間です。それが、神経系が最も発達する時期だからです」(中野さん)

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