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言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回はtripという単語の知られざる意味についてお話しします。

◇  ◇  ◇

勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。

月曜日のオフィス。2人の社員がウイークエンドをどう過ごしたかについて話しています。ナンシーは週末の間も仕事三昧だったようですが、ヒロシは近場に出かけて楽しんだので、「自宅の近くに外出した」と英語で言いました。ところが、それを聞いたナンシーはびっくりして、ヒロシのことを心配しはじめました。近所へのお出かけがそんなに危ないことだったのでしょうか?

それは、こんな会話でした。

Hiroshi: How was your weekend?
Nancy: Well, I had a lot of work. What about you?
Hiroshi: I tripped near my house.
Nancy: Oh, dear! Did you hurt yourself? Are you okay?
Hiroshi: Ah... sure.

日本語にすると次のようになります。

ヒロシ:週末はどうだった?
ナンシー:まあ、仕事ばかりってとこね。あなたは?
ヒロシ:家の近くでつまずいたよ。
ナンシー:あら、大変! けがはなかった? 大丈夫?
ヒロシ:あ、まぁ…。

tripというおなじみの名詞は、「旅行」「旅」という意味のほかに、ちょっとした「外出」「お出かけ」の意味でも使われます。たとえば買い物に行くとか、タクシーに乗るとか、その程度の移動でもtripになるのです。そのためヒロシは、近くにちょっと出かけたことを言うのに、この単語を使おうとしたわけです。

ところが、tripを動詞として使うと、「旅行に出かける」などの意味ではなく、「つまずく」「よろめく」というまったく別の意味になります。

例)Everyone tripped over themselves trying to be the first on the elevator. だれもが我先にエレベータに乗ろうとして、お互いにつまずいてよろめいた。

ほかにも、文字通り「足をとられる」ということに限らず、比喩的に「揚げ足をとる」、すなわち「言い損なわせる」「失敗させる」など、意味の広がりもあります。ただ、いずれにしても動詞としてのtripは、ネガティブな行いを表すことのほうが多いのです。

では、どう言えばよかったのでしょうか。

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