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ネコは自分の名前を知っている 上智大の研究で確認

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/4/27

ナショナルジオグラフィック日本版

ネコは、自分の名前と、食べ物や撫でられることなどのご褒美を関連付けている(PHOTOGRAPH BY MARC MORITSCH, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

ネコは、ネズミの捕まえ方から、缶を開ける音が何を意味するのかまで、多くのことを知っている。さらには、自分の名前も聞き分けているらしいことが、新たな研究で確認された。

上智大学の心理学者である齋藤慈子氏は、2019年4月4日付け学術誌「Scientific Reports」に発表した論文で、ネコは確かに自分の名前を聞き分けており、見知らぬ人に呼ばれた場合でも反応することを示した。

齋藤氏はネコ好きだ。大学院で霊長類の認知に関する研究をした後、この誤解されがちなペットを研究対象に選んだ。

「ネコが大好きです。ネコはとてもかわいらしく、とてもわがままです。なでて欲しいときは寄って来ますが、放っておいて欲しいときには離れていきます」と齋藤氏は笑う。

同氏は、これまでの実験で、ネコには、人のジェスチャーを理解し、隠してある食べ物を見つけたり、飼い主の声を聞き分けたり、自分を見て名前を呼ぶ人に食べ物をねだったりする能力があることを明らかにしてきた。これらすべてが、ネコは自分の名前を聞き分けていることを示唆している。

■自分の名前に反応

齋藤氏の研究チームは、この仮説を検証するため、日本の家庭と猫カフェで飼われているネコたちを観察し、実験を行った。

家庭や猫カフェで、飼い主と見知らぬ人の両方にネコの名前を呼んでもらい、耳や頭の動き、尾の振り方など、名前を聞き分けていることを示すと考えられる反応を録画した。

今回の研究では、音が名前と似ている4つの名詞で呼びかけたり、家庭や猫カフェで飼われている他のネコの名前で呼びかけるなど、4種類の異なる実験を、のべ112匹のネコに対して行った。その結果、ネコは自分の名前に対して有意な反応を示すことがわかった。

また、飼い主が名前を呼んだ時だけでなく、見知らぬ人が呼んだ時でも、興味を示したという。

ネコは、自分の名前のひびきと、食べ物やなでられることなどのご褒美を結びつけて覚えているのかもしれない、と齋藤氏は説明する。

「本当に素晴らしい研究です」と米オークランド大学の認知心理学者ジェニファー・フォンク氏は話す。なお同氏は、今回の研究には関わっていない。

フォンク氏は、自分のペットのネコで同様の実験を個人的に試したことがある。夫に、思いつく限りの名前を歌うような声で呼びかけてもらい、ネコが反応するかどうかを確かめたのだ。反応はなかった。

■反応がイヌとは異なる理由

ネコの反応は、イヌほど熱狂的なものではなかった。イヌは自分の名前に反応するよう生まれついていると、齋藤氏は述べる。

人は、イヌが従順かつよく反応するよう、何世紀にもわたり交配してきた。一方、ネコは、ヤマネコがネズミを追いかけて農村に入り込み、ほぼ自然に家畜化していった。おまけに、イヌが家畜化したのはネコより2万年も早い。

また、イヌのしつけ教室で最初に行われることの1つは、名前を呼ばれたときに反応するよう訓練することだ。そうすることで、イヌに何かをさせることやしつけが容易になる。

「イヌは、日々の散歩で新たな人に出会っています。また、おやつなどのご褒美で、簡単に訓練できます」とフォンク氏は述べる。「ネコを研究室に連れて行くと、固まってしまいます」

■進化の途上

イエネコはまだ進化している、と齋藤氏は述べる。その要因は人だという。

10~20年前まで、ペットのネコの大半は、屋外でほとんどの時間を過ごし、家にいるのは夜や天気が悪い時だけだった。

ところが、近年、ネコは室内で生活するようになってきた。人とより密接に関わるようになれば、人の合図を読み取り反応する能力は、さらに強まるかもしれない。

「ネコの社会性は、進化の途上なのです」。齋藤氏の結論だ。

(文 CARRIE ARNOLD、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年4月8日付]

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