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長寿企業を変える

キャビア養殖をゼロから創業 アジア放浪からの着想 金子コード(上)

2019/4/23

金子コードの金子智樹社長はキャビア事業を次なる収益の柱に位置づける

電話線からカテーテルチューブ、そしてキャビアへ――。代替わりごとに新領域に参入し、カメレオンのように業容を変えているのが金子コード(東京都大田区)だ。社長の金子智樹氏は3代目。入社間もなくバブル崩壊を経験し、社長就任後はリーマンショックを経て売上高を約2倍に伸ばした。売り上げが急降下した電話線事業からの逆転劇を追った。

地下鉄六本木駅から歩いて約3分のフレンチレストラン「リューズ」は、『ミシュランガイド』で7年連続の二つ星が付いたこともある一流店だ。故・ジョエル・ロブション氏の弟子であるシェフの飯塚隆太氏は当初、電話線を作っている会社がキャビアも売っていると知って驚いた。

国内で流通しているキャビアの多くは輸入物だ。保存性を高めるために塩分濃度を高くし、熱処理をするなど、手を加えている。金子コードのキャビアは静岡県浜松市で養殖しているチョウザメから採卵しているので、鮮度が高く、最低限の塩しか使う必要がない。現場を訪れ、「これなら」と納得した飯塚氏は出身地である新潟県産の塩をブレンドした塩分濃度2.5%のオリジナルキャビアを作ってもらい、期間限定メニューとして出している。「フレッシュで臭みがなく、卵そのものの風味を味わえる。お客様からも好評だ」と語る。

■電電公社民営化のあおりで医療分野へ進出

金子コードでは現在、リューズのようなミシュランの星を持つ高級レストランを中心に国内約40店舗にキャビアを販売している。1932年の創業当時は電話交換機用のプラグコードなどを主に製造していた。「通信機コード界の風雲児」と呼ばれた初代が日本電信電話公社(現NTT)の製造認可を得るなどして事業を拡大。だが、同公社が民営化された85年を境に電話線の売上が急降下。状況を打開するため、2代目が医療分野へと進出。選んだのは、ケーブル技術を応用して作るカテーテルチューブだった。

当時を知る1人が、同社事業統括本部本部長の渥美安司氏だ。同じチューブ状のものとはいえ、電話線とカテーテルでは求められる精密さが違う。

「カテーテルの分野は当時、海外メーカーが席巻しており、医療の現場では日本人の身体の大きさに合ったものが求められていました。ようやく完成しても先行メーカーにさらに先を行かれるなど、開発は試行錯誤の連続でした」(渥美氏)

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