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食の達人コラム

オーストラリアの「酒サムライ」 強い味でファン開拓 世界で急増!日本酒LOVE(10)

2019/5/10

日本酒と様々な食材や料理のペアリングを研究する

約20年間、日本酒ビジネスに携わってきたビショップさんは日本酒を取り巻く環境が変わってきていると指摘する。「世界的にも有名なトップシェフやトップソムリエ、外国人フードジャーナリストなどが、日本酒にとても注目しています。ペアリングの一つとして、SAKE(日本酒)を提案する機会が増えてきています」

「個性の強いワインだと、料理よりもワインが主役になってしまい、ワイン・ファーストになることもあります。日本酒は料理のうまさを引き出すサポート役として、とても優れています」とも話す。

自他ともに認めるフーディー(食通)であるビショップさんは何でも食べる。特に塩辛などの珍味が大好物で、生のウニなども味わうそうだ。これらは時に、ワインと合わせるのが難しいこともあり、「日本酒の方が料理とのストライクゾーンが広い」と考えている。

オーストラリアで獺祭をプロモーションした

「獺祭」のオーストラリア・プロモーションの経験から、ビショップさんは外国人に支持される日本酒には、「Good Story, Good quality, Good Branding」の3つの要素が必要だと考えている。例えば「獺祭」には、一度潰れかかったにもかかわらず、大復活を遂げた蔵元の歴史がある。「酒の美しいアロマや味わいはもちろん大事ですが、海外の人はこういった心が熱くなるストーリーも大好き」だという。

また「獺祭 磨き二割三分」のように、精米歩合をそのまま商品ネーミングにした分かりやすさや、外国人でも発音しやすい「Dassai」というブランド名にしたことなども、多くの国や地域で人気となっている要因だと話す。

「フレンチレストランなどで、料理名がすごく長くて読みにくい時があります。お客様を困惑させるもの以外の何ものでもありません。日本酒も分かりやすいのがベター。注文もしやすいので」

オーストラリアでは現在、「生原酒」(加熱処理していなく、水で割っていないのでアルコール度数の高い酒)なども人気だという。世界的なビオワイン人気の影響も受けて、日本酒でも非加熱や蔵付き酵母など自然派がトレンドとなりつつある。ビショップさんはオーストラリアの外交官や政治関係者などに、日本酒のこうした特徴も含めて日本文化の楽しみ方をレクチャーしている。

とはいえ、酒店で日本酒がもっと売られるようになり、誰でも気軽に購入できるようにならないと、なかなか日本酒文化は定着しない。「ワインと同じように、日本酒ももっとスタンダードな酒として味わってもらいたい。まずは日本酒の教育活動を頑張らないと」とビショップさんは意気込む。

ビショップさんの一番の楽しみは日本各地の居酒屋で、ローカル客との会話を楽しむ時間だという。「日本酒は日本の文化の一部であることをいつも心に留めながら、日本酒普及のために今後も貢献していきたい」と酒サムライの酒ジャーニーはまだまだ続く。

(GreenCreate 国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)


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