人を育てる3つの「き」 昭和女子大・坂東氏の育成論昭和女子大学 坂東真理子理事長兼総長(下)

「目標はしっかりと提示した上で、具体的なやり方は思い切って部下に任せる。意外とこうしたことが苦手な管理職が多いのではないですか」

――よいリーダーになるために、求められる資質は何でしょう。

「リーダーシップというと、よく『器』や『資質』といった、生まれ持った性質の方が日本では強調されがちです。でも、私はリーダーシップは男性であろうが女性であろうが、管理職であろうが新入社員であろうが、誰もが持つべき『スキル』だと考えているんです。さまざまな選択肢の中から、決断して選び取ること。実行するために説得したり、協力を取り付けるために働きかけたりすること。これらは全て、変化する状況に対応するスキルを身に付けることによって可能になる。だからこそ『教育』も重要なのです」

3つの「き」がない企業はだめ

――では、女性リーダーを育てる上ではどんなスキルが必要ですか。

「日本企業の男性管理職は、女性の部下に対して遠慮し過ぎるようなところがあって、あまり育てるのが上手ではありませんね(笑)。私は常々『3つの“き”がない企業はだめだ』と言っています」

――3つの“き”ですか。

「『期待』『機会』そして『鍛える』の3点セットです。男性社員には日常的にそういう言葉をかけても、女性に対しては『そこまで無理してやらなくていい』という発想の管理職がまだまだ多いと思います」

人を鍛えるうえで大切なのは「今持っている100%の力よりも、10%くらいだけ高い負荷を与えること」と説く

「特に鍛えるというのは、相手を否定するような言葉で怒鳴ったり、無理強いをしたりすることではありません。今持っている100%の力よりも、10%くらいだけ高い負荷を与えること。その人の強みを見極め、それを生かすことで少し難しいハードルをクリアする機会を与えること。『女性だから』といって、いつも100%未満の力でできてしまうような仕事ばかり与えていたら、成長の機会にはなりません」

「私はこれまで、そういった素晴らしい『リーダー』たちに目をかけ、育ててもらったことをとても感謝しています。教育を通じて、社会人の基礎力としての『リーダーシップ』を若い女性たちに伝え続けていきたいと思います」

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坂東真理子
1946年富山県生まれ。69年東大卒、総理府(現内閣府)入省。内閣府の初代男女共同参画局長などを経て、2007年に昭和女子大学長に就任。14年理事長、16年から総長を兼務。『女性の品格』(PHP新書)など、著書多数。

(ライター 加藤藍子)

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