居酒屋・スナック巡りに活路 外国人客狙う東北の試み「たびすけ合同会社西谷」西谷代表に聞く(上)

スナックを巡るツアー「スナックホッピング」を企画した(青森県弘前市)
スナックを巡るツアー「スナックホッピング」を企画した(青森県弘前市)

インバウンド(訪日外国人)の取り込みが遅れている地域の一つ、東北。そこで旅行会社を立ち上げ、外国人旅行客と地域住民との橋渡しに奔走しているのが「たびすけ合同会社西谷」(青森県弘前市)代表であり、「株式会社インアウトバウンド仙台・松島」(仙台市)代表取締役の西谷雷佐(にしや・らいすけ)さん(46)です。有名な観光地がなくても、ピカピカの施設がなくても、固定観念を取り払えばチャンスはある――。西谷さんのお話からは、インバウンド受け入れのさらなる可能性が浮かび上がってきました。(聞き手はやまとごころの村山慶輔代表)

――まず青森県弘前市で旅行会社を始めたきっかけを教えてください。

「大学時代、米国の人口3万人ほどの町に住んでいました。そこでは車椅子で学校に通い、バスに乗る人を日常的に見かけました。バーでお酒を飲んでいる車椅子の人もいました。18万人の弘前市にも車椅子の方はたくさんいるはずですが、街を歩いていてすれ違うことはほとんどありません。そういう方が気軽に外出や旅行ができるようになれば、とお手伝いをする会社を立ち上げたんです」

「たびすけ合同会社西谷」の西谷雷佐代表

人の力でバリアーを乗り越える

――旅の助っ人として壁(バリアー)を取り除くのではなく、一緒に乗り越える、という考え方に共感します。ただ便利だからいいわけじゃないこともありますよね。

「車椅子の方に、旅先でおいしいラーメンが食べたいと言われたら、車椅子でも入りやすい設備の整った、味は普通のラーメン屋さんに連れて行くのではなく、本人が希望すれば、たとえ狭くて不便で並んででも、その地域らしいおすすめのラーメン屋さんに行けるようにサポートする、それが私たちの考えるバリアフリーです。道路を広くしたり段差をなくしたり、環境整備につい目が行きがちなんですが、最終的なバリアフリーって人だと思うんです」

「例えば伊勢神宮には玉砂利が敷き詰められていますが、車椅子だと通れないからアスファルトにすればいいって話ではないですよね。そこには昔ながらの日本らしい旅の情緒があるわけで。伊勢の場合は、参道を自由に通ることができない人には、人の力を介して参拝のお手伝いをするバリアフリーセンターを設けました。不便だとしても、そこに見るべきもの体験すべきもの、食べたいものがあるから、人は旅をするんです。人の力で最終的に寄り添っていくことが、私は美しいなと思います」