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学生苦しめる「夢持て」 親世代と違う職業教育が原因

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NIKKEI STYLE

夢を持とう。夢を実現しよう。夢に向かって頑張ろう。親ならわが子に一度や二度は言ったことがあるのではないでしょうか。ところが、多くの大学生は「夢」という言葉によって苦しんでいます。夢という本来ならポジティブな言葉なのになぜでしょうか。背景には2000年代に入ってからの教育改革がありました。

「夢がないから苦しいです」と漏らす大学生

大学や就職の記事・本を書き続けて18年。メールアドレスを公開していることもあってか、毎年、山のように進路・就職相談のメールが来ます。このうち、進路関連で多いのが夢についてです。

高校生だと「夢が持てないし、はっきり希望できる進路もない。どの大学(学部)がいいか?」という内容が毎年のように来るのです。

では、大学生はどうか、と言えばこちらも同じ。主に文系学部の学生から「夢がないのに夢を持て、と言われるのが苦痛」という相談がよく寄せられます。

「医療関係とか、同じ文系でも司法試験などの資格を目指す子と違って私は特にやりたい仕事がはっきりしていません。なのに高校までは先生が『夢を持て』とうるさくて。親も同じです。大学では先生からは言われないけど親からは相変わらず言われて…。社会人って、そんなに早く進路を決めるものなんですか?」(文学部英文学科1年生)

文系学部だけではありません。専門性の高い学部・学科の学生からも来ます。今から6年前、難関私大の機械工学科に入った学生からこんなメールが来ました。

「高校時代は理系教科の方が得意で、就職の良さもあって機械工学科を選択、入学しました。しかし、入学すると、回りとの差が大きくすぎてつらいです。回りの同級生は本当に機械が好きでモノづくりが夢です。でも私はそこまで熱意が持てません。(中略)だんだん、勉強も嫌になり、最近は大学に行くのもつらいくらいです」(工学部機械工学科1年生)

こうした悩みを持つ大学生はどの大学・学部であっても、異口同音にこう言います。「夢がないから、苦しいです」

では、夢って何でしょうか?

キャリア教育と夢が直結した2000年代

「夢に苦しむ」と言うと、社会人、それも保護者の方は驚くかもしれません。実は親世代の「夢」と、今の高校生・大学生の「夢」とでは受け止め方が大きく異なります。

親世代、特に1990年代以前に大学を卒業した方であれば、受けた大学教育が今とは大きく異なることは前回(「もはや大学に遊ぶ暇はない 親の知らない大学事情」)書いた通りです。

1990年代以前、進学する大学を選ぶ時点(または大学入学時点)で、入学の目的が「夢の実現」と言い切る高校生・大学生はごく少数だったと思います。特に文系学部は理工系・医療系・芸術系などと異なり、そう多くはなかった、と言えます。とりあえず他の同級生も進学しているし、偏差値と受験科目次第で大学を選ぶという高校生が多数派でした。入学後に勉強や遊びを通して就職先を決める、というのが文系学部のキャリアルートとしては普通だったのです。

つまり、親世代からすれば夢という言葉に対して特別な意識はなく、むしろポジティブなイメージしかないと言っていいでしょう。

ところが2000年代以降、この状況が大きく変わります。小中高、そして大学といずれの教育機関においても、キャリア教育が展開されるようになりました。

1999年には中央教育審議会の答申でキャリア教育が提言されました。その後2003年には政府が「若者自立・教育プラン」を策定。若年就労支援策を打ち出します。このプランは、若者の就職難や早期離職の原因は、「将来の目標が立てられない、目標実現のための実行力が不足する若年者が増加」したためと分析されています。この就労支援策も学校でのキャリア教育が推進される一因となりました。

職業観や社会を学ぶのがキャリア教育であり、私もこのキャリア教育自体が悪い、とは考えていません。

しかし、問題はこのキャリア教育において夢が重視されすぎたところにあります。政府の若年就労支援策の中にある「将来の目標が立てられない」が夢の問題に直結してしまいました。その結果、「夢を持とう、夢に向かって頑張ろう」、これがキャリア教育で2000年代に合言葉のようになり、児童・生徒によっては進路を決める際に夢というキーワードがかなりプレッシャーになったのです。夢をネガティブな受け止め方をしている高校生・大学生が親世代の想像以上に増えた、と言っていいでしょう。

夢と職業はつながらなくても大丈夫

では、高校生・大学生は夢とどう向き合えばいいのでしょうか?

目線を変えてみるのが重要です。とりあえずは、専門職・総合職の違いを理解しておけばいいのです。ここで私が言う専門職とは専門的な職業でスポーツ選手や芸術家、医師、医療職などを指します。これに対して総合職は専門性よりも幅広いジェネラルなスキルが重視される職業で、会社員や公務員などを念頭に置いています。

専門職を志望するのであれば早いうちの進路選択が必要な場合があります。例えば、芸術やスポーツの分野では、幼児期から。ここまで極端でなくても、司法や医療などの専門職では、少なくとも高校生の段階では職業と結びついた学部や専門学校に進学する必要が出てきます。

この専門職・総合職の違いは夢にも大きくかかわります。専門職であれば夢という言葉は親和性が高く、総合職であれば親和性が低い、というか、むしろ不要である場合すらあるかもしれません。

高校生・大学生が苦しむ夢ですが、夢と職業は必ずしも直結するものではないという現実を知っておけば、少しは重荷に感じずにすむでしょう。このような事情を親や社会人にも知ってもらいたいのが私の夢。さて、夢のままで終わるか、現実となるか。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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