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できる上司は和やかな雰囲気づくりがうまい。写真はイメージ=PIXTA

できる上司は和やかな雰囲気づくりがうまい。写真はイメージ=PIXTA

パワーハラスメントを言い立てられはしまいかとおじけるあまり、部下との接触を減らす上司が増えているという。『人事が直面する職場トラブル』(第一法規)を書いたハラスメント対策コンサルタントの樋口ユミ氏は「部下を使いこなせず、仕事を抱え込んだ上司が疲弊するケースが目立ち始めた」と「過剰反応」による悪影響を心配する。パワハラを避けつつ部下と意思疎通を図る方法を、樋口氏に教わった。

「悪意のないパワハラ」が目立つ

パワハラの害が広く知られるようになって、大企業のマネジメント層では「暴力を振るうような、あからさまで悪質なパワハラは減る傾向にある」と樋口氏は指摘する。だが、トラブルや相談の件数が減っているわけではない。樋口氏の見るところ、近年目立っているのは「悪意のないパワハラ」だ。上司が指導に熱心なあまり部下が「ついていけない」と感じてしまうようなケースだという。「頑張り屋の上司が引き起こすことが多く、部下思いであったりもするのであながち全否定しにくい」(樋口氏)。ただ、放っておくと、その上司の下でバタバタと部下が身体・メンタル不調で倒れる事態にもなりかねず、企業は対応を求められる。

大都市圏ではない地域の工場や支店でもパワハラのトラブルが続いているそうだ。本社に比べるとコンプライアンスが徹底されていないケースがあるようだ。加えて宴会での「駆けつけ3杯」に象徴されるウエットな人間関係を重んじる慣習もあって「各地に配属された新卒者のような若手・部下層が違和感を覚えがち」という。若いうちの結婚を促すようなケースも問題になり得る。いわばセクシュアルハラスメントと「人生観の押しつけ」をミックスしたようなパワハラで、今も根強く残っている。上司の側は人生の先輩として当たり前のアドバイスと考えてしまいやすいが、「今の若年層には不愉快な圧力と受け止められても仕方がない」(樋口氏)。

多くの職場で、被害を受けたと感じる働き手が人事部や法務室に直接、届け出たり相談したりできる体制が整ってきた。「事態の深刻化を防ぐうえで。これは望ましい変化だ」と樋口氏はプラスに評価する。ただ、人事部や法務室は、届け出を受けると上司の処分を織り込んで「処理スキーム」を組み立てるようになった。そのため、上司の側は自分を守るために身をすくめがちにもなっているようだ。「上司が指導や育成を怠ってしまうと、部下は学ぶチャンスを奪われる。結局、損をするのは部下の側です」と樋口氏は過剰に防衛的な身構え方に注文を付ける。

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