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映像からご案内 ぐるり秋の瀬戸内国際芸術祭 春・夏含めて全作品紹介

2019/10/3

瀬戸内の島々が舞台となるモダンアートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019」の秋会期が始まった(11月4日まで)。映像で島の様子を紹介するほか、日本経済新聞社の記者が評価付けした全作品を各島ごとのページにまとめました。

島影が美しく折り重なる大小の島々を巡りつつ、国内外のアーティストがきらめく感性で制作したモダンアートを鑑賞できるとあって、世界的評価の高いイベントだ。春、夏会期の大部分の作品が引き続き鑑賞できることに加え、西側の本島、高見島、粟島、伊吹島の4島で40点以上が新たに追加された(沙弥島は春会期のみの開催)。このレビューを片手に秋の瀬戸内旅行を楽しんでみては。

(ランキングの見方)
★★★★★=瀬戸芸を代表する力作
★★★★=見逃せない作品
★★★=見る価値あり
★★=余裕があれば
★=話題作だけど…

<会場一覧。リンクを押すと各島の展示作品評価ページにジャンプします>

(1)直島

草間彌生「赤かぼちゃ」…草間彌生のアイコンというべき作品であり、瀬戸芸のイメージにもぴったり
安藤忠雄「桜の迷宮」

世界中から人々が訪れる現代アートの聖地。島内には地中美術館をはじめ、数多くの美術施設がひしめく。路線バスよりレンタル自転車が便利だが、坂道が多いので注意。飲食店や宿泊施設も充実している。高松から高速船で25分、フェリーで50分

(2)豊島

垣内光司「豊島愛ランドスケープ」…船着き場近くに設置されたレストラン
森万里子「トムナフーリ」

直島と小豆島の中間に位置する。島中央にそびえる檀山(だんやま)からの湧き水が島全体を潤す。縄文時代から人が住み、江戸時代には瀬戸内海交易や石の産業で栄え、集落には古い街並みが残る。高松から高速船で35分。直島や小豆島からも航路がある。

(3)女木島

木村崇人「カモメの駐車場」…防波堤の上にずらっと並んだ板でできたカモメが女木島を訪れる旅人を歓迎してている
宮永愛子「ヘアサロン壽」

南北4キロ、東西1キロの細長い島。山頂近くに鬼が住むとされた洞窟があり、鬼ケ島伝説の発祥地の一つとされる。海辺の集落は屋根より高い石垣「オオテ」が巡らされ、強い海風を防いだ。半日あればバスと徒歩ですべての作品を見て回れる。高松からフェリーで20分。

(4)男木島

山口啓介「歩く方舟」…山のようにもキノコのようにも見える方舟から8本の脚が生えている。海に突き出した突堤から、海へと歩いて行く。ユーモアあふれる楽しい作品
サラ・ヴェストファル「うちの海 うちの見」

面積1.34平方キロの小さな島。平地に乏しい。急勾配の斜面に石垣を積んで宅地を造り、狭い路地が張り巡らされている。独特の味わいある情景だ。道に迷ったら、坂道を下れば必ず港に出る。作品は集落に集中し、徒歩ですべて見て回れる。高松からフェリーで40分。

(5)小豆島

チェ・ジョンファ「太陽の贈り物」…上陸した高揚感に応えてくれる演出
ワン・ウェンチー(王文志)「小豆島の恋」

瀬戸内海で2番目に大きな島。土庄など主な港が7つあり、港の間をバスが結ぶ。温暖な気候で、しょうゆやオリーブなど名産品も多い。高松から土庄まで高速船で35分、フェリーで1時間。宇野や神戸、姫路などからも航路がある。レンタカーが便利だが予約は早めに。

(6)大島

田島征三「青空水族館」…ハンセン病療養所の寮だった建物を改装したアイデアあふれる水族館
山川冬樹「歩みきたりて」

白砂青松の美しい島。ハンセン病の国立療養所「大島青松園」がある。かつて偏見と差別から、多くの人がこの島に連れてこられた。悲しい歴史に思いを巡らせながら作品を鑑賞したい。今回の瀬戸芸に合わせ、高松からの定期船が就航した。

(7)犬島

名和晃平「F邸/Biota(Fauna/Flora)」…犬島の古民家を利用して妹島和世が建屋を設計し、内部に作家たちが作品を展示する企画「家プロジェクト」の一つ

採石と銅の精錬で栄えた島。大坂城や江戸城の石垣も一部はここで採石された。花こう岩を切り出した跡と精錬所跡が今も残る。小さな島なので、半日あれば徒歩ですべての作品を見て回れる。直島、豊島、小豆島のほか、岡山の宝伝から航路がある。

(8)沙弥島

五十嵐靖晃「そらあみ〈島巡り〉」…幅60メートルのカラフルなネット。瀬戸大橋で結ばれた5島の住民とワークショップを開き作製

春会期のみの開催。かつては沖合4キロに浮かぶ島だったが、1967年の埋め立てで現在は陸続き。JR坂出駅からバスでアクセスできる。小さな漁港がかつて島だったことの面影を残す。美しい白い砂浜が広がり、瀬戸大橋が間近に望める。

(9)高松

大巻伸嗣「Liminal Air-core-」…旅立ちの場所で祝祭的な気分を盛り上げてくれる

瀬戸芸の旅の拠点となる港町。JR高松駅を降りてすぐ、高松港から各島への船が頻繁に出る。会期中はイベントも多く開かれ、街中はアートで彩られる。宿泊施設は多いが早めの予約を。栗林公園や屋島など見どころも多い。街中の移動は市電が便利。

(10)宇野

小沢敦志「終点の先へ」…放置された末に「終点」を迎えてしまった自転車を、カワイイ自転車に再生した
淀川テクニック「宇野のチヌ/宇野コチヌ」

岡山側からの各島への出発口。JR宇野駅を降りてすぐ、宇野港から直島や豊島、小豆島、高松などに航路がある。地域はかつて造船などの製造業や鉱業で栄え、現在はノスタルジックな港町の面影を持つ。高松に比べると宿泊施設や飲食店は少ない。

(11)本島

石井章「Vertrek〔出航〕」…本島港に降り立つと最初に出会う帆船・咸臨丸をかたどった鋼の彫刻
五十嵐靖晃「そらあみ〈島巡り〉」

戦国時代、塩飽水軍が本拠地を置いた島。江戸時代は物流拠点として栄え、船大工が高い技術を誇った。島内には往時の繁栄を示す街並みが残る。作品は泊・甲生地区と笠島地区に分かれる。島内のバスの本数は少ない。レンタサイクルが便利。

(12)高見島

鎌田祥平・並木文音「積みかさなる白と空白」…来島者のための道しるべのようでもあり、島民にとっての聖なる岩のようでもある
中島伽耶子「時のふる家」

蚊取り線香の原料である除虫菊の栽培で栄えた島。港周辺に作品が集中しており、すべて歩いて回ることができる。しかし平地が少なく、急な坂道が続く。体力的にきついので、無理せず余裕を持って回りたい。

(13)粟島

日比野克彦「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」…海底から引き上げられたという様々なものを展示する
大小島真木/マユール・ワイェダ「粟島芸術家村」

スクリューのような形状の島。明治期、日本で初めての海員養成学校が置かれた。今も立派な校舎が残り、内部で作品も展示する。ほとんどの作品は港周辺に集中している。

(14)伊吹島

石井大五「トイレの家」…廃校の校庭に設けられたトイレ。地域と世界のつながりも表現している
コンタクト・ゴンゾ「伊吹島ドリフト伝説」

今回の瀬戸芸の会場で、最も西に位置する島。イリコ(煮干しいわし)の産地として有名だ。会期中はたくさんの大漁旗が迎えてくれる。すべての作品を歩いて見て回れるが、急な坂道が多いので注意しよう。

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