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AI兵器規制できる? 米中ロの慎重論崩す線引きカギ

2019/4/23

各国の利害が絡みながら規制についての議論が進む(3月、ジュネーブの国連欧州本部)

AI(人工知能)技術の急速な進展を背景に、人間の判断を介さずに目標を攻撃する新型兵器「キラーロボット」を、どのように規制するかという議論が国際社会で進んでいます。3月末にスイス・ジュネーブで開いた政府専門家会合では、規制推進派と慎重派の主張に隔たりが残った一方で、規制原則の合意を目指すなど議論が進展する兆しも出ています。

キラーロボットは正式には「自律型致死兵器システム(LAWS)」と呼ばれます。自ら標的を見つけ、自らの判断で攻撃する兵器です。完全に自律的な能力を備えた兵器はまだ存在しないとされますが、その前段階ともいえる高度な自動化兵器は開発・配備が進んでいます。

この問題は、米国の攻撃型ドローン(無人機)による誤爆事件などをきっかけに、国連人権理事会で議論が始まりました。現在は特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の締約国会議の場で話し合われています。CCWでは2014年から3回の非公式専門家会議、その後4回の政府専門家会合がこれまで開かれました。

途上国や非政府組織(NGO)がLAWSの禁止条約作りなど積極的な規制を主張し、米国や中国、ロシアなどは規制強化に慎重な姿勢を見せている、というのが基本的な構図です。ただ進展の兆しもあります。昨年8月と今年3月の会議では、兵器システムの暴走を防ぐための措置など規制に関わる論点を盛り込んだ10項目からなる基本原則案が議論され、同案を軸に合意を目指すことになりました。

日本代表団の1人として参加している佐藤丙午・拓殖大学海外事情研究所副所長は「8月の次回会議で議論が大きく進む可能性がある」とみています。

日本政府はかねて、LAWSを開発しないと表明しており、3月末の会議では兵器がAIの判断だけで攻撃に至ることを防ぐため「人間の関与が条件」とする文書を提出しました。

ただ日本は他の主要国と同様、兵器システムへのAIの応用自体は積極的に進める考えです。敵からの攻撃を自動的に探知するシステムや兵器運用の省力化にはAIの活用が不可欠だからです。規制対象の線引きをどうするかが、今後の議論のポイントとなりそうです。

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