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勃興eスポーツ

eスポーツに「異業種」続々 競技参加者も裾野広がる

2019/5/13 日経産業新聞

丸ビルで開かれた企業対抗戦にはソフマップの渡辺武志社長(右)も参戦した

ゲーム対戦競技「eスポーツ」に注目する企業が増えている。電機メーカーや飲料メーカー、メガバンクなど「異業種」の企業がeスポーツのイベントを支援するスポンサーに相次ぎ名乗りを上げている。社会的な認知度が上がったことや、大会を観戦しにくる若者が増えていることから、広告媒体としての可能性が広がっているためだ。

1月に東京・江東で開かれた「eベースボール パワプロ・プロリーグ 2018―19 SMBC e日本シリーズ」。日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメントが共同で開催し、各12球団を代表したチームが野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」で対戦した。

ここではリアルのプロ野球日本シリーズと同様に、三井住友銀行が冠スポンサーを務めた。他にもソフトバンク、日本コカ・コーラ、ローソンも開幕戦からスポンサーを務め、会場では各社のCMも放映された。

三井住友銀行は今回初めてeスポーツに参入した。同社のリテールマーケティング部部長の伊藤健司氏は「(日本の)金融業界ではおそらく初めて。若い世代との接点を持つため、eスポーツは研究してきた」と語る。会場には同社のマスコットキャラ「ミドすけ」も登場した。

昨年12月に千葉市の幕張メッセで開かれた「シャドウバース ワールドグランプリ 2018」は優勝賞金が賞金100万ドル(約1億1千万円)だったことで話題を集めた。サイバーエージェントのゲーム事業子会社サイゲームス(東京・渋谷)が開発したスマートフォン(スマホ)ゲーム「シャドウバース」で勝敗を競った。

大会スポンサーをシャープと大塚製薬、ソフトバンクがパソコンやゲーミングチェアメーカーと共に務めた。会場では大塚製薬が来場者に「ポカリスエットゼリー」を配布。会場内のブースではシャープのスマホ「アクオスゼロ」を展示し、来場者がゲームプレーを体験できるようにした。

RAGEのイベントではスマホの試遊スペースに多くの小中学生が訪れた

サイバー子会社のCyberZ(サイバーゼット、東京・渋谷)とエイベックス・エンタテインメント(東京・港)が3月17日に開いたeスポーツイベント「RAGE 2019 スプリング」では、小中学生など10代のeスポーツファンが多く訪れた。

シャープも協賛し、自社のスマホでゲームをプレーできるブースを出店。ゲームファンはゲームが快適にプレーできるかをスマホを選ぶ基準にすることが多い。イベントなどで実際にさわってもらい、10代が初めてスマホを持つときに選んでもらう狙いがある。

eスポーツは他のスポーツに比べ、年齢や性別、障害の有無などが成績に影響しづらいとされている。サーバー貸出事業を手がけるエスツー(秋田市)はeスポーツの振興を目的とした「秋田県eスポーツ連合」を設立。学校の部活動・サークル活動への支援やeスポーツを通じた訪日外国人の誘客、障害者の社会参加などに取り組む。

高校生のeスポーツ大会では、知的障害を持つ生徒と健常者の混成チームが参加した。20年の東京五輪・パラリンピックに向け、障害者も参加できる大会など、機運がさらに高まりそうだ。

競技参加者の裾野も広がっている。

3月15日、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会主催のeスポーツの大会が開かれた。このエリアに事務所を置く企業約40社が参加、格闘ゲーム「ストリートファイター2」の腕を競った。

企業の代表者1人による2本先取で勝ち抜きのトーナメント戦では、企業対抗ならではの面白いカードも多数登場した。予選ブロックでは「JXTGエネルギー対JX金属」といったグループ企業同士の対決もみられた。対戦前に選手同士が名刺交換するというビジネス街ならではの光景もみられ、場内の笑いを誘っていた。ソフマップは渡辺武志社長が自ら参戦、熟練の技を披露した。

決勝戦は野村総合研究所対情報システム会社BFT(東京・千代田)の組み合わせ。激闘の末、野村総研が優勝した。栄冠を勝ち取った選手は「純粋にうれしい。大丸有(大手町・丸の内・有楽町)のために盛り上がれたかな。すばらしい戦いだった」と話した。

もっとも野村総研の広報担当者は「会社も参加背景を把握したうえで、参加承認した」といい、「今回の参加は、会社として後押ししたものではなく、参加者本人が個人的なつながりで出場したもの」とややイベントとは距離をおいた説明をしていた。スポンサー企業の増加以外にも、実業団などができれば、さらに裾野が広がりそうだ。

(桜井芳野)

[日経産業新聞2019年4月16日付]

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