多くのビジネスマンのスーツスタイルは保守的でもったいない――。そう感じるというのは伊ブランド、ブルネロクチネリジャパンのブランドメンズアンバサダー、引野実さんだ。連載(上)ではスーツの単品を生かす技を提案してもらったが、次はアウターとの合わせ方のヒントを聞く。短めのブルゾンという普段は思いもつかないアウターも、合わせてみれば実にエレガント。スーツスタイルをさらに楽しむアイデアを披露してくれた。
■「上着の裾がのぞいてもいいんです」
――(スーツのジャケット代わりにニットを着た引野さん)。素材違いのカジュアルなニットも意外に合います。
「こちらのニットブルゾンはコットンとリネンシルク製です。ダブルジッパーですから下の方を少し開けてベルトをちらっと見せる。合わせるニットはあえて素材を変えるのが面白いと思います。印象が立体的になりますから」
――今度はスエードのブルゾンですか。しかしジャケットの裾がブルゾンより長く、「裾見え問題」が気になります。
「ビジネススーツの上にブルゾンを着ようなんて、普通は思わないでしょう。お客様からも『ジャケットがブルゾンの下から見えちゃってもいいの?』とよく聞かれますが、いいんですよ! 丈が短いスエードのブルゾンを着て、スーツの裾と色が異なることで、あえて印象的にカラーブロックを作ってしまいます。ぴしっとしたダブルブレストにレザーアウターをスポーティーに着こなすことで、年齢よりも若く、センシビリティー(高感度)に見えます」
――こうした着方はイタリアのスタイルなのですか。
「そうです。もう一つおすすめがあります。近年とても売れ行きがいいアイテムとして、ジャッカジレという薄手のダウンベストがあります。うちのヒット商品です。ジャッカとはジャケットの意味で、ジャケットのアウターとしてダウンを重ね着するシックなスタイルのこと。ちょっと肌寒い春先に便利です」