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カリスマの直言

投資の本質を問う もうかればいいのか(澤上篤人) さわかみ投信会長

日経マネー

2019/5/6

写真はイメージ=123RF
日経マネー

澤上篤人(以下、澤上) NISA(少額投資非課税制度)は6年目、iDeCo(個人型確定拠出年金)は対象者拡大から3年目を迎えた。2018年からは「つみたてNISA」も始まっている。

預貯金べったりという日本人の財産づくりに対する姿勢を投資の世界へ向けよう、と国は躍起だ。その努力が少しずつ実り始めたかなという感じだが、今月はここからの展望を草刈と話し合ってみよう。

■投資を始めるのと財産づくりは別物

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 貯蓄から投資へと、個人マネーが少しずつ預貯金ツンドラ(永久凍土)から投資に向かいだしているのは結構なことだね。国もNISAやiDeCo、そして、つみたてNISAに注力しているし、個人の投資意欲や自分年金づくりに対する意識も少しずつ高まっている。

草刈貴弘(以下、草刈) 本当に様変わりです。以前なら投資に興味なんかないだろうなと思える若い人たちの中にも、投資に関心を持つ人が増えているように感じます。

これだけ低金利が続くと、「お金を銀行に預けていても仕方ない(増えない)」という感覚や認識が広がり始めているんでしょうね。

澤上 ただ、われわれ本格派の長期投資家からすると、国の施策も、それに乗っかった個人の投資姿勢も、ちょっと中途半端だなと思えて仕方ない。

例えば運用期間。NISAは5年、つみたてNISAは20年という期間に縛られている。非課税というニンジンをぶら下げたのはいいが、5年とか20年で運用期間を区切っては、本来の意味での長期投資にはならないんだけどね。

草刈 「投資の出口は現金」という考え方が色濃く出ているあたりが、澤上さんの目には中途半端と映るのでしょうかね。

確かに普通の投資家の間では、株を売って現金にして利益が出て、市場から降りて初めて投資の成果とする……という感覚が割と強い。対して欧米では、ずっと続けて資産を増殖させるのが資産運用という感覚でしょう。著名運用者なども、引退して運用の仕事から離れても、大半の人はファミリーアセットの運用は続けると聞きます。

NISAなどでの運用でも、「非課税期間が終わるから」と節税優先で株や投信を売却すると、その後の株価上昇のチャンスを逃すリスクがあります。

「さわかみファンド」でも残念ながら同じようなことがありました。リーマン・ショック時に大きく買い越してくださったファンド仲間がいたのですが、アベノミクス相場で基準価額は大きく上昇します。その方は運用益に対する12年からの増税(10%から20%へ)を嫌って、直前にファンドを全て売ってしまわれた。基準価額はその後も上昇を続けますが、「早まった」と後悔されていました。もちろん「このまま長期で保有しましょうよ」といった情報の発信不足など、私たちが反省すべき点は多々ありますが……。

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