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好みの日本酒は「トロトロ」 AIが初心者にお薦め

2019/4/19

10種類を飲み比べ、スマホのアプリで好きな日本酒タイプを判定(東京・代官山のYUMMY SAKE COLLECTIVE)

「ジャケ買いするしかないか。日本酒を試してみたいが、自分の好みの味もわからない」――。そんな日本酒入門者のジレンマに応えるサービスが登場した。ベンチャー企業のYUMMY SAKE(ヤミーサケ、東京・渋谷)が始めたサービスで、AI(人工知能)を活用して、本人も気づいていないお好みの味を判定する。日本酒の専門知識ゼロの人でも楽しめるよう「ホワホワ」「トロトロ」といった直感的なオノマトペ(擬音語・擬態語)で表現するのが特徴だ。

■ビュンビュン系、お気に入りに

「自分ではどんな日本酒が好きかよく分かっていなかったけど、AIで選びやすくなった」。3月末、東京・代官山の日本酒店「YUMMY SAKE COLLECTIVE」を訪れた会社員の和紀さん(33)は目を丸くした。あなたの好みは「ビュンビュン」とのAI判定にしたがって選んだのは、「桂月 山田錦 純米大吟醸」(高知県土佐町の土佐酒造)。高知県で無農薬で化学肥料も使わず育てた酒米「山田錦」を使った酒だ。「優しい味わいながら、澄んだシャープさとフルーティーさもある」(和紀さん)と、お気に入りの一本になった。

このサービスは「YUMMY SAKE」で、社名と同じ名称で展開する。実施店は同社の代官山店のほか、東京・吉祥寺の未来日本酒店だ。近々、恵比寿に出店予定の店にも広げる計画だ。

■15~20分で判定

好きな日本酒のタイプを判定するのにかかる時間は15~20分ほどだ。ブラインド・テイスティング(目隠しテスト)方式で、先入観に左右されないよう銘柄や価格といった情報はない状態で、味だけに集中して自分の好みを見極めてくれる。

「プリプリ」など、あえて直感的な言葉で専門知識がなくても選べるようにした

まずスマートフォンに専用アプリをダウンロードする。店側が銘柄名を分からないようにした状態で10種類の日本酒を少量ずつ出してくる。審査員のように身構える必要はない。試飲しながら好きか苦手か、スマホ画面のハートマークをクリックして5段階で評価していくだけだ。

試飲する銘柄は、あらかじめプロのテイスターが飲んで選んだものだ。利き酒に慣れたプロが1つずつ「酸味5、甘味3、香り4」などと複数の要素について数値化。あえて専門用語は一切使わず、「シャラシャラ」や「アワアワ」などオノマトペで10種類に分類してある。

例えば、甘くフルーティーな香りを生む酢酸イソアミルという成分を含む銘柄はバナナのような香りがあり、酸度が高いとシャープな味になりやすいが、そういった説明はあえて省き、この組み合わせの銘柄は「キュンキュン」と分類している。解説では「バナナみたいにあまーい香りに対し、意外と味はシャープなギャップ萌(も)え」などと表現してある。このあと、客自身がどんな日本酒にどれほどハートを付けたのか、システムで偏りを分析して、その人の好みの分布がどれに当てはまるかを判断してくれる仕組みだ。

これまでは日本酒を試そうにも、試飲に向く小瓶は少なく、いきなり四合瓶(720ミリリットル)を買うには勇気もいる。味も好みもわからぬままラベル買いに踏み切らざるを得ないのが実情で、入り口で苦労してきた日本酒入門者も少なくなかった。

もちろん、日本酒を深く知りたい人には、一般社団法人、日本ソムリエ協会(東京・千代田)が実施する「J.S.A SAKE DIPLOMA」や、酒造業者・流通業者でつくる日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(東京・文京)の「きき酒師」の資格をとる道もある。とはいえ資格認定を受けるほどではなく「ちょっと飲んでみたい」という入門者には当然、ハードルが高い。20~30代の若者には「日本酒は怖そうなおじさんが多そうなイメージ」もあるため、酒販店の角打ち(1杯ずつ飲むコーナー)には足を運びづらい。

AI酒屋バーを始めたヤミーサケの山本祐也社長は「初心者が気軽に楽しめるよう、門戸を開くしかけ作りも重要だ」と新たな取り組みの狙いを話す。

■まず「自分の1本」を

代官山店ではバーとして営業するほか、試飲や瓶で買うこともできる。日本酒を並べた冷蔵庫はガラス扉を黄色や緑などに色分けし、AIで判定した10種類の「オノマトペ」別の色も割り振って、客が探しやすいよう工夫してある。

冷蔵庫の照明も色分けし、日本酒をタイプ別に陳列

店員の佐藤瑶子さんは「(辛口・甘口の目安となる)日本酒度や(酒のコクやうま味のもとになる)アミノ酸度など、いきなり細かいことを言われても戸惑う初心者は多いはず。ひとまず自分の基準になる銘柄を見つけられたら、あれより軽いもの重いものなどと、気分に合わせて選ぶスタート台にできる」と話す。

同社ではAIによるお好み判定を使える店を自社店舗以外にも増やそうと、居酒屋との提携も拡大中だ。現在、21店あるが、置いてある銘柄を同社があらかじめ「オノマトペ」の10種類に分けておき、客が自分のタイプに合わせたりその日の料理によって選んだりしやすいようにしてある。

AI判定が「日本酒は飲んでみたいけど……。とっかかりがなかった」入門者など、入り口で迷える日本酒好きの新たな突破口をつくろうとしている。(小太刀久雄)

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