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終着地はチェルノブイリ 30年家系探ったユダヤ教徒

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

米国ニューヨーク生まれのイッツ・トワーズキー氏は自身の家系の調査に30年の時間と私財を投じた。そうして自身を含め全8世代、5万人以上をそのルーツであるチェルノブイリと結びつけると、現地に飛んだ。イタリアの写真家ピエルパオロ・ミッティカ氏の写真で、トワーズキー氏のルーツ探しの最終章を見ていこう。

◇  ◇  ◇

チェルノブイリは1986年、壊滅的な原子力発電所事故に見舞われた。「原発事故が起きたとき、ニューヨークのユダヤ教徒の多い地域では、皆がチェルノブイリを知っていました」とトワーズキー氏は話す。

原発事故のはるか以前、チェルノブイリは宗教的情熱で人々の心をとらえていた。この町は18世紀、「ハシディズム運動」と呼ばれるユダヤ教超正統派の運動が勃興し、盛んになった土地だったのだ。のちにチェルノビル派と呼ばれる運動をこの地で開始したのが、レベ・メナヘム・ナホム・トワーズキーだ。ハシディズムの創始者バアル・シェム・トーブの弟子であり、今回の主人公トワーズキー氏の直系の祖先である。

メナヘム・ナホムの息子モルデカイのもとには、その教えを聞き、祝福を受けるため、一帯から何千もの人々が集まった。モルデカイは装飾品に囲まれ、大邸宅で裕福な暮らしを送っていた。モルデカイの息子8人全員がウクライナでラビ(指導者)になり、その子供たちもラビになった。こうしてチェルノビル派は続いていく。

1917年のロシア革命、1919年のポグロム(ユダヤ人の大量虐殺事件)、第二次世界大戦によって、チェルノブイリのユダヤ人コミュニティーは破壊された。しかし現在、数千人の子孫がポーランドや米国、イスラエルで暮らしている。ウクライナでは約1500のユダヤ遺跡が見つかっているが、実際の数はもっと多いはずだ。

トワーズキー氏の壮大な調査の目的は、この重要な祖先を突き止め、全子孫の系図を作成することにあった。「私にとっては、探求の旅でした」とトワーズキー氏は説明する。「誰でもいいから話をするため、私はソ連時代にもウクライナに行きました。当時はインターネットも電子メールもありませんでした。手紙は、電話帳で調べて書きましたよ」

トワーズキー氏は世界各地を回り、キエフに保管されている18世紀の国勢調査の記録、ソ連国家保安委員会(KGB)のファイル、イスラエルにあるホロコースト生存者たちの証言を調査。さらに、31カ国に散らばる親族のY染色体DNA検査を行った。そして、30年におよぶ系図調査プロジェクトの末、いよいよチェルノブイリを訪れるときが来た。

トワーズキー氏の祖先にまつわる重要な場所の一つが、メナヘム・ナホム・トワーズキーの墓だ。停止した原発を中心とするチェルノブイリ立入禁止区域の中にある。ちなみに、事故を起こした原子炉は、今も鋼製のシェルターに閉じ込められたままだ。

原発事故からわずか2年後の1988年、ニューヨーク在住のラビ・シルキス・レイベルの助けで、墓の正確な場所が判明した。「立ち入りには米国政府の特別許可が必要でした」。ハシディズムに貢献した偉大な神秘主義者の墓を突き止めるため、レーダー装置で地中を調べた。墓は地面のすぐ下に埋もれていた。

ラビ・シュミエル・グルーバーは「私たちは歌を歌い、ろうそくをともし、賛美の詩を朗読するため、チェルノブイリに行きます。旅の一番のハイライトであり、とても感動的です」と話す。

同氏はこの20年間に10組以上を、かつてのシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)や墓地に連れていった。ほかにもユダヤ教の遺跡をいくつか訪れるが、空っぽのプールや廃墟となった学校、避難区域の記念碑といった年間6万人ともいわれる観光客がよく行く場所は避ける。

「多くの人が初代レベ(ハシディズムの指導者)の墓に行きたがりますが、なかなか実現しません。ウクライナのお役所仕事が原因です」とラビ・グルーバーは嘆く。

数十年の長きにわたってチェルノブイリにとりつかれてきたトワーズキー氏は、調査の結果わかった、同じルーツをもつ5万人分の名簿とともに、ハシディズム運動をこの地で始めた祖先の墓前に立った。

今回撮影したミッティカ氏は、自らも原発事故後の知られざる物語を記録するため、2002年以降、20回以上もチェルノブイリを訪問している。その氏は、次のように振り返る。「私がチェルノブイリ立入禁止区域で見てきた中でも、おそらく最も珍しい光景でした。真冬に黒い帽子をかぶった人々が森の前の墓地で話したり、祈りをささげたりしていました」。

「写真を撮りたくなるような素晴らしい雰囲気でしたが、そこは世界で最も危険な立入禁止区域です。彼らの美しさと、汚染された土地が実に対照的でした」とミッティカ氏は語った。

次ページでは、トワーズキー氏の旅に同行したミッティカ氏の写真12点を紹介する。

(文 CHRISTINE BLAU、写真 PIERPAOLO MITTICA, PARALLELOZERO、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年3月24日付記事を再構成]

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