――発想の参考にした事例などがあったのですか。

「公務員時代の経験則から、ごく自然に着想しました。例えば、新しい法律や制度をつくるに当たっては、公務員だけでは何もできません。政治家や学者など、さまざまな知見や個性を持つ人たちと連携し、協力し合うことが不可欠です。物ごとを前に進めるために必要なのは、気合や精神論ではなく『適材適所』でしょう」

「大学にもオープンイノベーションが必要だと考えています」

――18年には、人材サービス会社を通じて副業・兼業での「理事長特命補佐」を募集するという取り組みも実践しました。

「社会人女性向けのビジネススクールなどを展開する『昭和女子大学ダイバーシティ推進機構』の活動を、より促進したかった。そのための人材を、ビジネスの第一線で活躍している方の中から募りました。2職種で1人ずつを想定していましたが、約800人もの応募をいただき、最終的には3人ずつお願いすることにしました」

創造性とはゼロから何かを生み出すことではない

「大学にも、オープンイノベーションが必要だと考えています。私は1980年代、米ハーバード大学へ客員研究員として渡った経験がありますが、そのころには既に、大学はさまざまなビジネスパーソンにも開かれた場所でした。だから、外部の知見や人脈を活用するのは私にとって合理的な選択です」

「公務員から教育者への転身は、私自身の『レパートリー(領域)を増やす』挑戦であったと思います。人の創造性が試されるのは、そういうときです。創造性というのは、ゼロから何かを生み出すことではないと思います。自分自身が経験してきたレパートリーを新しい知見とどう融合させ、目前の課題解決に生かすか。少なくとも私のアイデアは、そうして生まれてくることが多いです」

坂東真理子
1946年富山県生まれ。69年東大卒、総理府(現内閣府)入省。内閣府の初代男女共同参画局長などを経て、2007年に昭和女子大学長に就任。14年理事長、16年から総長を兼務。『女性の品格』(PHP新書)など、著書多数。

(ライター 加藤藍子)

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