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排尿時間が30秒を超えたら、おしっこ年齢の曲がり角

ストレス解消のルール(8)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

健康診断の季節を前に「悪い結果が出ないだろうか」と気にする人も出てくる頃だろう。ややもすると「健康診断が近いから飲酒を控えておこう」「歩くようにしよう」と、付け焼き刃の涙ぐましい努力(?)で数値の向上活動にいそしむ姿も見かける。

健康診断や人間ドックなどで、自分の体調の悪化をいきなり突きつけられるショックは大きい。日常生活で「体からのサイン」を読み取ることができるなら、すぐに改善にとりかかれるだろうし、体のお悩みストレスからも解放されるはずだ。

そのサインになり得るのが「尿」だ。健康診断でもとられるように、血液と並ぶ「体の情報の宝庫」。毎日数回は訪れる排尿のタイミングで、自分の体の変化を確かめられれば、「安心」にもつながる。ただ、「尿チェック」の際に気にしたほうがよい点がある一方で、それほど神経質にならなくても良い点もあるようだ。

「尿」から「体のサイン」を読み取り、「ストレスのない快尿」を実現するためのコツを、健康ジャーナリストの結城未来が、『寿命の9割は「尿」で決まる』(SB新書)の著書もある順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授の堀江重郎医師に聞いた。

血尿が一度でも出たら、すぐに病院へ

まず気になるのは、「尿の色」。日によって色が濃かったり薄かったりする。

――堀江医師「色は透明で便器と同じような色であるのが基本です。脱水になると色が濃くなります。脱水は特に高齢の方では脳梗塞の危険を高めますし、水分摂取が少ない人は、尿路結石や膀胱(ぼうこう)のがんになりやすくなります。尿の色が薄くなるまで水分をとりましょう」

起床直後の尿の色が濃いのは、一晩中水分をとらないためらしい。

――堀江医師「薬やサプリメントをとっていても、着色されます」

赤い色はどうだろうか。例えば、「血尿が出るくらい頑張る」というフレーズがある。

――堀江医師「血尿は絶対にダメですね。赤色や褐色がかった尿が出たら、すぐに病院に行ってください」

尿に血が混じっても、他に具合が悪いところがなく、それ以降出血もないなら、「しばらく様子を見よう」と、気にしない人がいるかもしれない。

――堀江医師「それが一番危ないんです。実際に、1回しか血尿が出なかったからと放っておいたら、3年後に膀胱がんと分かったということも珍しくありません。特に喫煙者で血尿が出たら大変ですよ。知らない方も多いようですが、喫煙は肺がんだけでなく、膀胱がんのリスクも高めるんです」

血尿に関する話をまとめると、下記のようになる。

「痛みや発熱を伴う血尿」→膀胱炎や結石の可能性が高い

「痛みがない血尿」→膀胱がんや腎臓がんの可能性があり、これが一番危険

いずれにしろ、血尿は病気のサインなのだ。

――堀江医師「忙しくても血尿が出たら病院に行く。これで命が助かる可能性は高くなります」

「排尿時間」「スッキリ感」「勢い」から分かること

「尿の色」以外にも、体からのサインを読み取れないだろうか?

――堀江医師「基本的に、色・臭い・痛みは連携しています。尿が濁り、変な臭いがし、痛みがあるなら、膀胱に細菌が混入したことによって引き起こされる膀胱炎のサイン。異常が分かりやすいと思いますので、すぐに専門医に行ってください」

加齢や体調の変化などを読み取ることはできないのだろうか?

――堀江医師「体の変化で気にしてほしいのは、『排尿時間』『スッキリ感』『勢い』ですね」

【1】排尿時間

――堀江医師「排尿時間は、『おしっこ年齢』のバロメーターの一つです。排尿する時間が30秒を超えるようなら、『おしっこ年齢は老人』ということですね」

老人とは、衝撃的だ。そういえば、考え事をしていてトイレの滞在時間が長くなることはあっても、排尿する時間を気にすることはほとんどない。

ところが、かのノーベル賞のパロディーで有名な「イグノーベル賞」で、排尿時間の研究が発表されている。「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるこの賞の2015年物理学賞を受賞したのが米国の研究チーム。「体重が3キロ以上の哺乳類なら、ほとんどの動物が排尿にかかる時間は約21秒である」という研究だ。

実際、堀江医師と旭川医科大学の松本成史教授の研究チームが21歳から94歳の男女に対して行った調査でも、排尿時間は男性20~40代、女性20~60代で21秒前後だったという。

――堀江医師「健康的な排尿時間は21秒、長くて30秒以内が目安です。30秒以上かかるようなら、膀胱の機能が低下しているサイン。70歳以上の高齢者か、前立腺肥大症、高血圧、動脈硬化がある可能性があります」

「今日は特に排尿に時間がかかるなぁ」と思ったら、病院に行ったほうがよいのだろうか。

――堀江医師「いえいえ、体調や飲んだ水分の量によっては時間が長くなる時もありますから、排尿時間が1回長くなったからといって神経質になる必要はありません。そもそも、排尿時間が急に長くなるということはありません。加齢とともに少しずつ長くなります。でも、目立って排尿時間が長くなってきたように感じたら、加齢の変化が膀胱や前立腺に起こっていると思ったほうがよいでしょう」

【2】スッキリ感

排尿の「スッキリ感」というのは、どういうことだろう?

――堀江医師「尿が膀胱に十分にためられ、スムーズに出し切ることができれば、スッキリ感を得られます。これが、理想的な感じ方。いわば、『ストレスのない快尿』です。逆に、尿がチョロチョロとしか出ず、出し切れなければ、残尿感につながってしまうのです」

どういう場合に、排尿し切れず「残尿感」が生じるのだろうか?

――堀江医師「加齢とともに膀胱の血流は減少し、膀胱の筋肉はしなやかさを失い硬くなります。伸縮性の落ちた膀胱は、いわばゴム風船から紙風船に変化したようなもの。尿を押し出す膀胱の筋力が衰え、しなやかさを失うと、貯水袋である膀胱から尿を出し切るのに時間がかかります。しかも、尿が出切らないために『常にトイレに行きたい感じ』になるのです」

つまり、排尿時間が長くなるだけでなく、常に残尿感があるのも、「おしっこ年齢」が上がったサインということなのだろうか?

――堀江医師「そうですね。高齢男性の場合は前立腺肥大症が原因の場合もあります」

「前立腺」とは、膀胱のすぐ下に位置し尿道を包み込むような形をした男性特有の臓器だ。健康な状態では尿が出る時だけゆるんで尿を通しやすくしている。それが肥大化し、膀胱や尿道が圧迫されるようになってしまうのが、「前立腺肥大症」だ。尿の勢いが落ちる、排尿が遅くなる、キレが悪い、といった尿トラブルを引き起こすのだという。

――堀江医師「前立腺肥大症も膀胱が硬くなることも、『老化』からくるもの。『残尿感』が出てきたら、『老化』が始まったかもしれないと、注意してください」

【3】勢い

排尿する際の「勢い」も気にしたほうがよいのだろうか?

――堀江医師「そうです。『排尿時の勢い』は、『排尿時間』『スッキリ感』と密接に関係しています。常にチョロチョロとしか出なくなってきたら、排尿時間も長くなりますし、残尿感がありスッキリとはしません。勢いがなくなってきたと感じた際にも、『おしっこ年齢が上がったサイン』と気にしたほうがよいかもしれませんね」

「年をとったからトイレが近くて」と嘆く声もよく耳にする。

――堀江医師「そうですね。これも、老化で膀胱が硬くなったことによります」

尿の貯水タンクである膀胱の平均的な容量は300~400ミリリットル。150~200ミリリットル尿がたまると、尿意が起こるメカニズムになっているようだ。

――堀江医師「150ミリリットルくらいでトイレに行きたくなっても、容量近くの250ミリリットルまではガマンできます。健康で若い膀胱でしたらトイレに行きたくなってもしばらく我慢ができるのは、この余裕があるからです」

では、「トイレが近くなる」のはどうしてだろうか?

――堀江医師「老化で膀胱のしなやかさが失われると、ためられる尿の容量も減ってしまいます。同時に我慢できる容量も減るので、しょっちゅうトイレに行きたくなる『頻尿』を引き起こすのです」

かくいう私は緑茶好きのせいか、トイレに行く回数が多い気がする。これも膀胱の老化なのだろうか?

――堀江医師「結城さんのように利尿作用のある緑茶やコーヒーを頻繁に飲む人、大量に水分をとる人は、トイレに行く回数も増えます。残尿感がなくスッキリ感があるのなら、膀胱が老化していると見なさなくてもよいですよ。安心してください」

ただ、トイレの回数が多いと困るケースも出てくる。

――堀江医師「おしっこが近いということは、『本人が困っているかどうか』に関わります。日中の排尿回数は平均して5~7回ですので、日中は8回以内くらいが1日のトイレ回数の目安。夜は2回以上だと安眠に関わりますので、さすがにつらいでしょうね」

では、回数で「おしっこ年齢が上がった」と感じるサインはないのだろうか?

――堀江医師「『夜中に1回でも起きるようになったら、体の曲がり角』だと思ったほうがよいでしょうね。50代の半数は夜中に1回は起きてしまうようです。血圧が高い、肥満、眠れない、ストレスなど、原因はいろいろと考えられますので、夜中に起きるようになったら健康に気を使ってください」

便秘が原因でおしっこが近くなる人も

「トイレが近くなる」ことに関しては、老化だけでなく、さまざまな要因が関わってくるようだ。

――堀江医師「便秘でもおしっこが近くなりがちですね。便が詰まっていると膀胱が押されるので、おしっこも近くなるのです。20代でもあり得ますよ」

「おしっこ年齢が上がった」と感じたときの対策法はあるのだろうか?

――堀江医師「専門医に相談することも一つの方法ですが、自分で手軽に始められるのは『排尿ストレッチ』でしょうね」

やり方はいたって簡単。トイレに入ったときに3~5秒間、排尿を我慢するだけだ。膀胱の筋肉を意識して締めることで、筋肉トレーニングになるという。たった数秒だが、トイレに行くたびに行えば、1日に何回も行える。

――堀江医師「トイレに行って用を足す直前に意識して行うようにしてください。逆にトイレに行くことを我慢するのは膀胱炎を招きやすくするので、やめてください」

日中のウォーキングや運動も、全身の筋肉を鍛えることにつながるので、膀胱の老化を抑えることにつながりやすいようだ。

――堀江医師「全身運動は、あらゆる尿トラブルの予防になるという研究結果もあります。膀胱はもちろん、体全体の老化予防のためにも、ぜひ運動は定期的に行ってください」

さらに詳細に自分の尿を分析できるキットもあるようだ。

――堀江医師「尿検査キットは、ドラッグストアなどで手軽に手に入れられます。こうしたものを使えば、尿たんぱくや白血球数など、目で見るだけでは分からないカラダの情報を知ることができます。ご家族で定期的に取り組んでみるのも、良い健康管理法ですね」

毎日数回ある「排尿時間」を「健康管理タイミング」と心得て、老化予防と健康維持のヒントをつかみとろう。

【ストレスのない理想的な快尿のルール】

(1)「きれいで透明な尿が基本」
⇒濃い色なら脱水症状になっているので、水分をとろう

(2)「排尿時間は30秒以内」
(3)「排尿後にスッキリ感がある」
(4)「チョロチョロではなく勢いのある排尿」
⇒(2)~(4)は膀胱のしなやかさが維持できている証し

(5)「回数は日中8回以内、夜中は1回以内」
⇒たくさん水分をとる人は回数も多いので、あくまで目安
堀江重郎さん
泌尿器科医、医学博士。順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学主任教授。日米で医師免許を取得し、米国で腎臓学の研さんを積む。国立がんセンター中央病院、帝京大学主任教授を経て2012年より現職。腎臓病・ロボット手術のトップランナーとしても知られている。アンチエイジング医学を研究する医師が集う日本抗加齢医学会理事長、日本Men's Health 医学会理事長。近著に『寿命の9割は『尿』で決まる』(SB新書)がある。
結城未来
エッセイスト・フリーアナウンサー。テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーターや健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。

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