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歩きスマホや痴漢 弁護士費用保険でトラブルに備える

2019/4/16

写真はイメージ=PIXTA

都会の満員電車や人が混み合うプラットホームでは、痴漢などの迷惑行為や乗客同士のトラブルが頻発している。最近は「歩きスマホ(スマートフォン)」にまつわるトラブルも目立つ。予期せぬ事態に遭遇した時、弁護士に相談をしたり交渉を依頼したりする費用を補償する保険がある。

■加害者側も補償

弁護士費用を補償する保険は主に2種類ある。一つは弁護士費用に特化した「弁護士費用保険」。もう一つは自動車保険の特約として加入できる。

専用保険は主に少額短期保険会社が手掛け、日常生活の中で偶発的に起きる事故について、弁護士費用や法律相談費用などを補償するのが一般的だ。トラブルの被害者だけでなく、加害者側になったケースも補償範囲とするのが特徴だ。

痴漢冤罪(えんざい)事件で疑われた人は社会的な信用を失うリスクがあり、無実を勝ち取るまでの公判で高額な弁護士費用の負担を強いられる。ケースにもよるが着手金として30万~50万円、報酬金や日当なども合わせると、100万円を超える費用がかかることも珍しくない。

例えば、ジャパン少額短期保険は月590円の保険料で、弁護士費用を最高300万円、法律相談費用を最高10万円まで補償する。個人賠償責任保険に弁護士費用特約が付帯しており、加害者として損害賠償が必要になった場合は最高1000万円まで補償する。

痴漢事件などで駅員や警察官に拘束された場合でも、連絡をすれば弁護士に立ち会ってもらえる。

大手損害保険会社では、自動車保険の弁護士費用特約を自動車事故以外にも広げる動きがある。

■自動車保険の特約でもカバー

東京海上日動火災保険は生損保一体型商品「超保険」の特約に、日常生活の事故も補償範囲とした弁護士特約を用意した。損害保険ジャパン日本興亜は1月から、自動車保険の特約の補償範囲を日常生活の事故などまで広げた。ソニー損害保険や三井住友海上保険も対象を拡大している。

ただし、専用保険と自動車保険の特約では補償対象のケースが異なる。

痴漢事件をカバーするのは少額短期保険の専用保険のみだ。自動車保険の特約は「身体の障害」や「財物の損壊」があったケースを補償する。痴漢被害はけがや物の破損などにはあたらないため対象外だ。

ホーム上の歩きスマホが招くトラブルが増えている。歩きスマホの人に衝突されてけがをした場合はどちらも弁護士費用の補償を受けられる可能性がある。

ただ自動車保険の特約は労働災害を補償対象外としているケースが多い。通勤時のけがを、労災として相手方に医療費請求する場合などは対象外となる可能性があるので確認したい。

なお、歩きスマホでうっかり線路に落ちて電車遅延の賠償を求められたとしても、これらの保険では1円も受け取れない可能性が高い。日ごろの悪癖が巨額賠償を招く恐れもあるのでくれぐれも注意したい。

(岡田真知子)

[日本経済新聞朝刊2019年4月13日付]

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