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シニアの投信選び、守り忘れず米景気懸念に対応 資産配分見直し、株式比率下げも

2019/4/21

シニア層を念頭に専門家に守り重視の資産配分比率を提案してもらった(図B)。「先行き不透明なときこそ資産分散を徹底する」点が共通している。

後藤氏の案はシニア層には大敵となる物価上昇にも配慮している。まず為替ヘッジ付きの先進国債券(米国債中心)を5割とする。ただし債券は価格変動リスクこそ小さいが、期待リターンが低くインフレに弱いため、これ以上比率を高めるのは得策でないという。

株式は今後の価格変動率が高そうだが、一定のリターンを確保するため米国株中心に4割を配分する。さらにインフレ対策として上場REIT(不動産投信)や金を組み入れる。

独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は「株式型の投信は利益の出ているものから売るよう勧めている」。通常は2割の株式比率を1割に下げ、代わりにヘッジ付き先進国債券や国内債券を高めている。見返りはあまり期待せず、株式相場が大きく下がったときに現金化して買いに出るための待機資金と位置づける。

金は米国株やドルが売られる時の受け皿になる資産だ。半面、そうした状況下では円高になりがちなので、ドル建てで取引される金を組み入れた投信は、為替ヘッジ付きが望ましい。株式ロング・ショート型の投信は、株式に比べて低リスクで、安定的なリターンを期待した「債券代替」資産として組み入れる。

■信用力にも注意

では、逆に今の市場環境で「買ってはいけない資産」はあるだろうか。重見氏は「信用力の低い米企業には注意が必要」と指摘する。米企業の借入金はリーマン危機後に急増しており、これまでの金利上昇が収益の圧迫要因になっている。

景気が悪化すれば、真っ先に打撃を受けるのは財務体質が弱く信用力が低い企業。低格付け債(ハイイールド債)やバンクローン、中小型株といった資産は十分なチェックが必要だ。

資産配分比率を決めたら次は具体的な投信選びだが、今後の市場環境を想定すると「できるだけ守りに強そうな投信」(吉井氏)を優先したい。例えば株式型なら、過去の景気減速・後退局面では高配当株や、安定的に稼ぐ優良企業株を組み入れるファンドの方が有利だった。業績の二極化が予想されるため、「運用担当者が銘柄を厳選するアクティブ型投信を勧める」(後藤氏)との意見もある。

候補となりそうな投信を表Cに挙げたので参考にしてほしい。

退職金などを元手に運用を始めようという人はどう取り組めばよいだろう。最初は肩慣らしのつもりで、国内外の債券投信など低リスク資産を対象に少しずつ積み立て投資をしていけばいい。そして株価が大きく下げたら今度はリターンを求めて、徐々にリスク資産の比率を上げていく。

何より肝心なのは先を急がないことだ。「2、3年かけてポートフォリオを作ればよい」(吉井氏)というぐらいの心構えで、気長に取り組んでほしい。

(QUICK資産運用研究所長 北沢 千秋)

[日本経済新聞朝刊2019年4月13日付]

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