自分しか語れないメッセージは プレゼンに勝つ第一歩
一橋大学名誉教授 石倉洋子(4)
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世界で通用する人材、会社で求められる人になるにはどうしたらいいの? そんな素朴な疑問に、世界経済フォーラムなどの国際舞台で多くのリーダーと接してきた石倉洋子氏は「ちょっとしたことから始めて、毎日の習慣にしてしまえば、生活の一部となって、どんどん力がついていく」と言います。では、どんな習慣を身につければいいのでしょう? このほど文庫として刊行された「世界で活躍する人の小さな習慣」から連載で紹介します。
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プレゼンテーションの重要性はあらゆるところで説かれています。人前で話す機会が多い人、たとえば企業のトップ、広告やPRの担当者、マーケティングやセールスのスタッフはもちろんのこと、他部門の人でも必ずプレゼンテーションが必要になっています。
「Reader」と揶揄される日本企業トップのプレゼン
最近はいろいろな活動がプロジェクト形式で行われることが多いため、プレゼンテーションがとても大事であることに異論を唱える人はいないでしょう。
熱狂的なファンがいつも心待ちにしていたスティーブ・ジョブズの素晴らしいプレゼンテーションや、スーパー・プレゼンテーションとして一躍有名になったTEDをはじめとして、どうしたら印象に残るプレゼンテーションができるか、そのコツなどを紹介したハウツー本や動画はあふれています。
この波は小学校などにも及んでいるらしく、日本全国どこでもプレゼンテーションが大流行ともいえそうな状況です。
その背景には、発表会や各種イベントで「書いたもの」を読むことが多く、RとLの発音を区別できない日本人を揶揄(やゆ)して「Reader」ともいわれる日本企業のトップが多いこと、また最近はアジアのリーダーも世界的な場で印象的なプレゼンテーションをするのに、日本人のプレゼンテーションはいかにもつまらない内容で、これではグローバル化に乗り遅れてしまう、という危機感があるようです。
気後れしてプレゼンの練習がなかなかできない
一方、プレゼンテーションが大切なことはわかるけれど、どうしても自分は好きになれない、気後れしたり緊張しすぎたりしてなかなかうまくできない、タレントのような華やかなプレゼンテーションはとてもする気にならない、などと思っている方も多いのではないでしょうか。
また、プレゼンテーションは生まれつきの才能だ、うまい人は子どもの時から上手、自然にできるもの、だからそういう才能がない自分は無理、と思い込んでいる人もいるかもしれません。