鍛錬法は例えば「モーニング・ジャーナリング」(毎朝決まった時間にノートに妄想を書き付ける)、「ビジョン・スケッチ」(妄想を一枚の絵に描く)などと名づけられ、ちょっとした遊び感覚で始められるようなメソッドとして具体的に提示される。推奨ツールなども書き添えてある。パソコンを前にうなっている時間が長いようなら、読んですぐに試してみるのがよさそうだ。
著者の佐宗氏はデザイン思考を日本に紹介したことでも知られる。課題解決型のデザイン思考をさらに一歩進めたビジョン思考を、ビジネスのイノベーションだけでなく、教育からライフデザインの領域にも広げていきたいとまで語っており、生き方本としても需要もありそうだ。
「今の新刊の中では売れ行きに勢いがある」と店長の三浦健さんは話す。メインの平台の面陳列では、1月に本欄で紹介した内田和成『右脳思考』など、近刊の思考法の本とともに並ぶ。『右脳思考』も直感の大切さを語っており、左脳型で論理思考をきわめた人が直感や妄想の力を説くのが最近の傾向のようだ。
ムーギー・キム氏の新刊も上位に
それでは先週のベスト5を見ていこう。
(1)FACTFULNESS | H・ロスリングほか著(日経BP社) |
(2)「あれ、私なんのために働いてるんだっけ?」 と思ったら読む 最高の生き方 | ムーギー・キム著(KADOKAWA) |
(3)メモの魔力 | 前田裕二著(幻冬舎) |
(4)仕事と人生がうまく回り出すアンテナ力 | 吉田将英著(三笠書房) |
(5)直観と論理をつなぐ思考法 | 佐宗邦威著(ダイヤモンド社) |
(リブロ汐留シオサイト店、2019年3月31日~4月6日)
『FACTFULNESS』と『メモの魔力』は1位と3位。2位には東洋経済オンラインなどで人気コラムを手がけるムーギー・キム氏による生き方本が入った。価値を実感する生き方を獲得しようと説く。4位は電通のプランナーが成果の上がるインプットの仕方を説いた本。今回紹介した思考法の本は5位だった。
(水柿武志)