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転ばぬ先の不動産学

賃貸マンション投資 「本当の手取り」を見極めるには 不動産コンサルタント 田中歩

2019/4/17

また、30年間ずっと満室ということも、まずありえません。平均的に一定の期間で退去は生じますし、退去があれば入居までの期間は賃料が発生しません。このため、空室率は必ず加味しておかないとまずいのです。

地域と建物のタイプ(ワンルームやファミリータイプなど)で入居の平均期間と入居者が決まるまでの期間は異なりますが、仮にワンルームタイプなど単身者向けの場合は3年程度に1度退去し、入居までの期間は3カ月程度と想定する必要があります。この場合、空室率は8.3%とみておくべきです。

■賃料収入に占める支出、最低でも20%程度

「運営支出」は賃貸事業を手掛けるにあたって実際に支出する費用です。管理会社に支払う管理費やエレベーターの管理費、水道光熱費、修繕費、退去されたあとの原状回復費、入居者の募集費、土地や建物の固定資産税・都市計画税など、実際に金銭の支出を伴う費用(金利と減価償却費は含まれません)が挙げられます。

運営支出の適正さをチェックするには、賃料収入に対する比率(運営支出÷賃料収入)を確認するとよいでしょう。一般的には25%程度、規模が大きな物件の場合で最低でも20%程度と言われています。この比率が大幅に低いようなら注意が必要です。今回のイメージでは25%としているので、とりあえずは問題なさそうだといえます。

■税金は加味されているか

問題は、よくある事業収支表は「手元残金」までしか表示されておらず、税引き後利益が判らない状態のものが多いのです。法人でも個人でも、不動産賃貸で利益が出れば税金がかかります。現実の世界では、先の事業収支表にある「手元残金」から税金が差し引かれることになるのです。これがいわゆる「税引き後利益」であり最終の手取り額になります。

税金は手元残金から金利と減価償却費を差し引いた「税引き前損益」に税率をかけて計算されます。ここで重要なことは、元利均等返済の場合、金利は年々減少し(税引き前損益は増加し税額も増加)、設備部分の減価償却費が一般的には15年で終わる(16年目以降、税額が増加する)ということです。

元利均等返済とは、金利が変わらなければ、元本と利息の合計額が同額のまま続く返済方法で、当初は金利が多く(返済する元本は少なく)、徐々に金利が減る(返済する元本が増える)ものです。

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