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なんでハトがハイヒールに? 妄想工作家が作る新世界 乙幡啓子さん

2019/4/22

30歳で会社を辞めてナレーター塾に通うも目が出ず。たまたま入ったのがアジア系のフリーマガジンを発行する会社で、ライターとしての活動を始めました。もともと読者として楽しんでいたウェブメディア「デイリーポータルZ」でも書かせてもらうようになったのですが、数カ月後にはネタ切れしまして。

ネタ切れ解消のための苦肉の策として、「段ボールで茶室を作ってみる」「トタンで六本木ヒルズを作ってみる」といった工作記事を投入したところ、編集長から褒めていただけた。そこから工作の道へと没頭していった感じです。

トタンでつくった六本木ヒルズ

妄想工作家で食べていけますか?

収入の波が大きいので、複数の収入源をつくることが大事です。

私の場合は、自社サイトでの直販の売り上げが30%、作品づくりを記事にするライターとしての収入が20%、残りの50%は企業向けに雑貨商品を制作する企画料やライセンス収入というバランスです。これら全部合わせて、40代の平均収入くらいですが、今後は企業向けの企画を強化したいところですね。

悩ましいのは、「どこまで自分の手を使うか」という点。制作や販売を外部に委託すれば楽になるし量産も可能ですが、自作直販よりもガクンと実入りは減ってしまう。バランスの見極めは難しいなといまだに感じますね。

最近、試しているのはライブ配信型の直販です。インターネットのおかげで以前と比べてより広く多くの人に作品は届けられるようになったのはうれしい半面、「“バズった”からと言って“売れる”とは限らない」というのも私の気づきです。

例えば「SNSでこんなに話題にしてくれている人がいる!もしかしたら家が建つかも?」と浮足だったのに、実際の収入は会社員の平均ボーナスにも満たないくらいだった……なんていうこともありました。

ということで、消費の動向に合わせて、いくつかの収入源を柔軟に組み合わせていくのがいいのではないでしょうか。ちなみに、私が自分の作品を「アート」と呼ばない理由は、それをどう感じるかは受け手の判断に委ねたいからです。

乙幡さんが仕事で大切にしているこだわりとは?そして、若者に向けてアドバイスをお願いします。

誰かのまねをするのではなく、オリジナリティーを追求していきたいですね。私は美大を出た“正統派”ではないので、アートの歴史や文脈を踏まえての作品づくりはできませんが、その分、型にはまらず自由な発想ができるのが強みなのかなと思っています。私の作品を見た人がちょっとでも肩の力を抜いて、日常を面白がれるきっかけが作れたらなと。

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