キャリアも景気予測も一緒 エコノミスト新家氏の原点新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミストが語る(下)

広島学院は京大より東大志向のほうが強いような気がします。関西の高校なら東大でなく京大を選ぶ人が多いかもしれませんが、広島から見ると、東京も京都も遠いことに変わりない。だったら東大を目指そうと考える人が、私も含めて多いのかもしれません。あと、医師を目指す人は、地元の広島大学に進む人が結構います。

キャリアも景気予測も一緒だと思う。

人からよく予測の秘訣を聞かれますが、そんな時は必ずこう答えるようにしています。「未来は現在の積み重ね。まずは現在を知ってください」と。すると、ガッカリされる方が多いのですが、足元の景気を正しく把握することは非常に難しく、きちんと把握している人は意外といません。

例えば、消費は減少、輸出は拡大という状況の時、果たして景気はいいのか悪いのか。あるいは、ずっと右肩上がりが続いてきた数値が横ばいになったときに、それは景気のピークなのか、それとも一時的な踊り場にすぎないのか、判断するのはとても難しい。ここで誤った判断をすると、予測も外れます。

つまり、予測を間違えるときは必ず、現状判断を間違っているのです。正しい現状判断をするには、現状を、バイアスをかけずに、冷静に客観的に分析することが非常に重要です。例えば、景気は今後も拡大すると思いこんでしまうと、それに引っ張られて、弱い指標が出たときに、特殊要因だとか一時的な現象だとかとか言って片づけてしまう。それをやると、現状判断を誤ります。

「未来は現在の積み重ね」というのは、人生のキャリアについてもあてはまると思います。私のこれまでの人生は必ずしも、節目節目で、未来を見通して進む道を選んできたわけではありません。広島学院入学のいきさつもそうですし、東大に入ったのも、さらには第一生命に入ったのも、必ずしも未来を見通してした選択ではありませんでした。でも、その時々で、曲がりなりにも全力を尽くしてきたからこそ、現在があるのだと考えています。将来のことをあれこれ考えすぎず、今を大切に全力を尽くしていくことこそが、未来につながっていくのではないでしょうか。

(ライター 猪瀬聖)

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧