働き方・学び方

リーダーの母校

言い訳しないと学んだ広島学院 景気予測の達人新家氏 新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミストが語る(上)

2019/4/15

また、詰襟の制服着用が校則ですが、学校に着くと全員、体操着のような服に着替えて下校まで過ごすというのも、変わった校則だったと思います。ほかにも、カバンの代わりに風呂敷に教科書を入れて通学するという伝統もありました。ただこの伝統は私のころはかなり廃れていて、風呂敷通学していたのはごく少数でした。

エコノミストとしての姿勢は、将棋で身につけた。

部活は将棋部でした。高校時代に1度、県大会で団体優勝し、全国大会に出場したこともあります。

私個人はそれほど強くはありませんでしたが、将棋を指すのはとても楽しく、本を読んだりして研究するなど、かなり真剣に取り組みました。

東京大学でも将棋部に入り、今もよく、通勤電車の中でスマートフォンのアプリを使い、ネット対局しています。今は普通の将棋のほか、「どうぶつしょうぎ」にもはまっています。将棋が好きなのは、勝負に勝ったときの爽快感もありますが、もともと、考えることが性に合っているのでしょうね。

将棋から学んだことはたくさんあります。今の仕事にも役立っています。こう言うと、みなさん必ず「先を読む力ですか」と聞いてきますが、違います。一番の学びは、言い訳しないことです。

エコノミストは往々にして、予測がはずれそうになると、言い訳をするくせがあります。例えば、景気がよくなると言い続けているときに弱い指標が出ると、「統計には癖があるので実際には景気は弱くない」とか「他の指標は強いので全然問題ない」とか言って、心の中ではヤバいと思っているのに、あくまで最初の予測を押し通そうとします。

でも、それをやると、結局、予測はますます外れますし、エコノミストとしての評価も下がります。私は言い訳は極力、しないよう心掛けています。予測が違ったと思ったら素直にそう認め、躊躇(ちゅうちょ)なく変える。それが景気予測に対する私の基本姿勢です。

こうした姿勢を学んだのが将棋でした。将棋は言い訳できません。対局ではすべて自分で考え自分で決断して次の一手を指す。それでミスをして負けたとしても、すべて自分の責任で誰のせいにもできません。負けたら、どんなに悔しくても「負けました」といって相手に頭を下げる。それがルールです。そうした将棋の厳しさや作法を学んだことが、今の仕事にも生きているのだと思います。

(ライター 猪瀬聖)

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